ドクター転職ショートストーリー

全ては患者さんのために(下)

2018年03月01日 コンサルタントY

「先生。今まで聞かなかったんですが、病室とかトイレとか廊下の広さとか、こだわっているご理由は何ですか?」と。「まず病室に6人も8人も詰め込んでる病院はその方針がわかる。要するに儲けが一番ということですよ。第一、患者さんに良くない。病室内で簡単なリハビリができる広さが患者さんにとっても一番だと、私は思ってます。それは廊下もトイレもしかり。私は患者さんの視点で考えられる病院に勤めたいので。」私はそれを聞いたとき、給与や仕事のゆとり具合ばかりで求人を探して案内していた自分に、未熟さと憤りを強く感じました。

翌日から、自分自身も病院を見学しながらの求人探しを行いました。自分の目で病院を見て、このドクターに後悔しないような新天地で働いてもらうために。そうなると今までのように求人が頻繁に挙がっていた状況が一変しなかなか希望に添うような病院は見つかりませんでした。十数件の病院を回り終えたころ、ある病院から求人依頼の電話が入りました。常勤希望と言うことで私が電話を受け対応しました。科目は整形外科。今春から来て頂ける医師を探しているとのことでした。翌日から冬季休暇という年末の繁忙期でしたが、病院側からの強い要望で訪問することにしました。

訪問当日、病院の前に立ち、私はやや小規模な建物と古い外観に「ここの病室はあまり期待できないか。。」と思い入館しました。しかしそこには100床以下と少ない病床数だからこそ実現できる、広い廊下にバリアフリーの車椅子でも余裕がある広さのトイレ、そして室内リハビリも可能にする広い4人部屋の病室でした。

ここしかない!と思いその夜、すぐにドクターに連絡をし翌日、面接に望みました。結果は言わずもがな。春からの入職が決定しました。後日の契約の席上でそのドクターは「変わった希望を言う変な医者に付き合ってくれてありがとう。ほんまに感謝感謝ですわ。」と言ってくれました。この言葉を頂いたからではなく、本心で私は、自分が整形外科を受診するときはこのドクターにお願いしたいと思いました。

このドクターは今ではこの病院での勤務3年目を迎え、常に患者の視点で物事を考える地域では人気のある整形外科医として活躍されておられます。

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