あえて1人勤務を希望する医師(下)
2019年06月01日 コンサルタントY
A先生: 「以前の職場で苦い経験があります。人間関係が苦手なんてことは全くありません。その職場は整形外科メインの病院だったんですが、オペが多く麻酔科常勤医が私を含めて7名いたんです。普段は好意的にお付き合いしていましたが、私以外の6名は40代半ばから後半でみんな私の先輩でした。それが落とし穴だったんです!麻酔科部長、副部長、医長着任の争いがすごいんです。お互いの足を引っ張り合い、理事長には擦り寄りご機嫌を伺う。。それだけならまだ許せますが、麻酔科内という小さな集団にも派閥ができてしまってどこかに所属しないといけないような空気だったんです。何の為に医局を出てフリーになったのかわかりません。」
それを聞いて私は、納得しました。医師の世界も一般企業にあるような派閥や出世争いが存在するんだと思いました。
面談前は1人常勤ではない職場も検討してもらうために説得しようと思っていましたが、面談後には何とか1人常勤で勤務できる病院を探そうという決意に変わっていました。
と言っても求人がジリ貧状態だったある日、新規求人情報の回覧が回ってきました。
【麻酔科常勤医師1名退職のための常勤募集】150床クラスのB病院で医師数もそこそこでしたので麻酔科複数在籍の中での補充なんだろうと思いましたが、ダメもとで確認を入れました。「実は常勤医師が不在になってしまい非常勤のみになってしまうんです。緊急で麻酔科常勤医を募集しています。」という採用担当者の返答に、これは決まったと思いました。しかし1点だけネックがありました。給与が低かったのです。
A先生からの返答は「取りあえず見学だけでも行ってみます。」と角度の低い感じでした。早速、面接の設定に取り掛かり、面談当日、和やかで雰囲気よく話が進み無事に終了。A先生からは事前に抱いていたイメージより思いのほか良かったですとお言葉を頂き、前向きに検討するということでその日は終わりました。
頃合いを見計らった上で「B病院でお決めになられては如何でしょうか」と一番言いたい言葉、反面断られたらどうしようという不安を抱きながら、A先生に一言投げかけました。 結果は、「B病院でお世話になりたい。」という返答でした。
前職のトラウマの影響もあり、給与面よりも職場環境を最重要視されて決断されるという結果に、医師紹介業をやっていくうえで非常に勉強になるエピソードとなりました。
完