医師の仕事・働き方・キャリアプランについて

#03 外科医として活躍するためのキャリアプランとは?

国家資格職である医師ですが、免許さえ持っていれば将来まで仕事が安泰というわけではありません。医師として実際に現場で活躍するためには、質の高い経験と実績が求められます。特に、医療機器の発展や術式の開発が著しく、高い技術を求められる外科の分野で活躍するためには、積み上げていくキャリアが重要となるのです。そこで、今後外科医として活躍するにあたり考えておくべきキャリアプランについて解説します。

外科医として活躍するためのキャリアプランとは?

若いうちは実績を重ねよう

若いうちにどれだけ質の高い経験と実績を積むかは、外科医としてのキャリアを積む上で重要となります。経験値を上げておくことで将来の可能性が広がり、考えるキャリアプランの選択肢も広がるのです。
医師として働くためには医学部を卒業後、臨床研修を受けることが定められています。研修は前期と後期に分けられ、前期となる2年間を経た後、専門分野に分かれて後期研修先へと移っていきます。専門にもよりますが、研修期間は前期と後期と合わせて7年前後が一般的です。そして、この7年間は医師人生の基盤を作る重要な期間となります。先輩や指導担当となる医師の下で、基本的な診療の経験を積むことになるからです。大学病院では研修医を一人前にするための教育システムがあり、多くの臨床体験を積める環境が整えられています。指導医に付いて入院患者の回診を見て回るほか、術中の処置や助手、カンファレンスへの参加など、外科医として活躍する上で重要となるシーンの現場で直接技術を学ぶチャンスも多くあるのです。
外科医はさまざまな科目の中でも、特に迅速かつ臨機応変に動くことが求められます。現場でその時々の対応ができる力を身に付けるためには経験の数がものをいいます。特に、外科医は知識だけではなくオペなどの経験実績が大きく求められる仕事です。最初は苦戦する技術であっても、時間と経験数を重ねるうちに体が覚えていくことでしょう。
苦戦しながらも若いうちからさまざまな経験をすることで、自分は何に向いているのか、どんなことにやりがいを感じるか、といったことが考えやすくなります。経験の結果、自身の考えや目標を見出すことができたら少しずつキャリアプランを固めていくということが大切となるのです。

女性外科医のキャリアプラン

女性の社会進出とともに、女性が医師として活躍する姿を多く見るようになってきました。しかし、それでもいまだ男性の活躍が多いのが医師の世界です。特に、外科医として働く女性は男性に比べると多くはありません。男性社会ともいえる外科医たちの中で女医としてキャリアを積んでいきたいと考える場合、課題となるのが将来の結婚や出産です。一般的な結婚や出産のタイミングとして多い20代から30代の頃は、医師の場合、研修中であり医師としての大切な時期となります。学ぶべきことが多いこの期間にプライベートで穴を空けることは、今後のキャリアに大きな影響を与えることにもなりかねません。
また、研修を経て一人前になったとしても、外科医は夜間呼び出しや緊急対応などを求められることも多い仕事です。そのため、家庭や職場の理解や協力が重要となります。しかし、共働きの家庭が増えている時代とはいえ、勤務する病院によっては女医が少ないために医師の産休や育休といった制度への対応が不十分なところもあるでしょう。また、男性が多い職場ゆえに女性への理解が進んでおらず、産休前と復帰後の仕事への配慮が行き届いていないケースもあります。
キャリアプランを考える上で、特に女性外科医は働くスタイルや職場選びなどをしっかりと選択し、さらにライフプランとともに検討することが重要となるのです。

考えておきたいキャリアチェンジの道

専門職である外科医として働くからには、その道のエキスパートを目指したいと考える人も多いことでしょう。将来の目標へと着実にキャリアを積んでいくために重要となるのが、キャリアチェンジです。若いうちに多くの実績を重ね、有用な知識や技術を身に付けたとしても、それを活かせる環境でなければ自分の実力を高めることはできません。ただオペを数多くこなしているだけではなく、難易度の高いオペの経験を積み重ねてこそ、価値ある実績として認めてもらうことができるようになります。
現在の職場では自分の経験値を上げることができないと判断した場合や、将来目指すものにつながる仕事が現状ではできていないと感じている場合には、キャリアチェンジの道を選ぶことも必要です。
専門を見直す後期研修の時期や、さらに専門性を高めることが強く求められる卒後10年前後などといったタイミングで、キャリアチェンジのチャンスは何度かあります。そのタイミングを逃さずに、思い切った決断と行動をするということが自分の価値を上げ、さらには後悔のない外科医人生を送るために重要となるのです。

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