#09 多い?少ない?医師の貯金事情
医師は給料が高いイメージがあり、貯金額も多いと思われがちです。ところが、実際は必ずしもそうとは限りません。医師の収入が多いのに貯金額が少なくなってしまう原因や、結婚して子供ができたときのための教育費について知っておくと役立つでしょう。また、医師としてキャリアを積んでいくときに考えておきたいマネープランなど、医師のお金事情について詳しく紹介していきます。
収入も多いが支出も多い?
医師(勤務医)の平均年収は1,479万円、月収にすると123万円です。(※1)大学病院の医局に進んだ場合や開業医、診療科によっても収入は異なります。これだけ聞くと十分高い年収をもらっており貯金額も多そうな印象ですが、実は支出も多いのです。それは決して贅沢な暮らしをしているからではなく、必要な経費を自分で支払っているからです。たとえば、転居費などがそれに該当します。勤務医の場合は業務命令によって引越しを伴う転勤を命じられることがあります。その引っ越しに関連する費用が自己負担というケースも少なくないのです。また、事情により家族が転勤についてこられず単身赴任となったときは、帰宅旅費も別途かかります。他にも、業務上必要とされる知識やスキルを磨くため講演会や学会に参加するのに交通費や宿泊費、書籍の購入費用も自分で払うことがほとんどです。さらには、医局の親睦会や教授、同僚との交際、接待費などの負担も多くなりがちです。一般企業であれば転勤に伴う費用や業務上必要となる研修などの参加費、接待費などは企業側が経費として負担してくれます。しかし、医師の場合は勤務医でもそれらの費用を全て自分でまかなうケースが多く、それが支出増につながるのです。開業医になると年収はアップしますが勤務医よりも支出が増えることがあり、必ずしも貯金額が多くなるとは限りません。例えば開業医の場合、診療所の建築費用の返済や修繕費用、働けなくなったときの所得補償などが発生するからです。
(※1)年収ラボ:http://heikinnenshu.jp/iryou/kinmu_dr.html
いくら必要?子供の教育費
医師の家庭では、子供の教育に十分なお金を費やしたいと考える場合が多いでしょう。しかし、支出が多いため自由に使えるお金が少なくなり、教育費にあてるお金が不足することもあり得ます。教育費を確保するためにも、教育費がどれだけかかるのかを知り対策を立てておくと安心です。教育費は子供を公立か私立どちらに通わせるか、習い事や塾にどれだけ通わせるかによって大きく左右されます。たとえば、幼稚園から大学まですべて公立に通わせると教育費の平均は769万円であるのに対し、すべて私立の場合は2,205万円かかります。(※2)したがって、できる限り公立に通わせたほうが教育費を低く抑えられます。また、習い事や塾代は通わせ方次第で大きく増えることもあるため、注意が必要になります。子供も医師にしたいと考えると、塾代や学費(私立大学に入学した場合)はかなり高額になる可能性が高いことも知っておきましょう。
(※2)プレジデントオンライン:http://president.jp/articles/-/12196
キャリアと併せて考えたいマネープラン
今後医師としてキャリアを積んでいくにあたり、マネープランについてもきちんと考えておかないと安心して老後を迎えられません。一般企業では退職時には勤続年数に応じた退職金、企業年金が準備されています。ところが、医師の場合は退職金をもらえないケースが多いのが実情です。退職金制度を設けている勤務先もありますが、一般企業と比べてしまうとその額は十分とは言えません。つまり、医師の場合は収入が高いのですが、それには退職金も含まれていると捉えておくのが無難です。そのため、将来の収支を予測するキャッシュフローを作成しておくと、今後のお金の流れや必要となる費用などが把握しやすく、対策を立てられるでしょう。支出の問題点を見直し、今後発生するだろう支出を考慮することで、将来的にどれだけの収入を確保できれば十分なのかがわかります。収入や支出を正確に予測するのは困難ですが、キャッシュフローのおかげで計画的なお金の使い方ができるようになるのです。希望するキャリアを積んでいくためにも、お金の使い方や貯金について理解を深めることが大切です。