#13 今後のキャリア形成を考えるヒントに!精神科医のやりがいとは
精神科医は他の医療科目に比べて人気が高いといわれています。設備投資の必要があまりないために元手がなくても独立することができる精神科医は、開業して高い収入を得やすい科目でもあります。ただ、年収だけではなく仕事としてのやりがいも決して小さくありません。今回は精神科医の仕事について深く追求してみます。
精神科医に求められている資質とは
一般的な医師の仕事は、どこが悪いのかを診療し原因を発見して処方することです。もちろん、精神科医であってもそのプロセスは変わりません。しかし、精神科医はより深く患者の立場に立って診察をする必要があります。なぜなら、精神科医が見ている対象は患者の心であり、その処方の仕方が単なる事務的なプロセスになってしまえば、患者が何に苦しんでいるのかという重要な点を見損なってしまいかねないからです。精神科医というのは、ある意味で医師として特殊であり、だからこそ求められる資質も他分野の医師とは異なります。精神科医に求められているのは、患者の立場に共感するという能力です。患者の立場になって診察ができることこそ、精神科医に要求される資質だといえます。
患者とともに在る… 精神科医のやりがい
精神的な病というのは、たとえば外傷のように症状が改善すれば完治したと断定できるわけでなありません。そのため、精神科医は患者を救えたという確実な実感を得られないのではないかという懸念を抱く医師も決して少なくないでしょう。しかし、精神科医のやりがいは必ずしも患者を完治させるという点あるわけではありません。むしろ、患者と心を通わせる治療の過程にあるといえます。心を診察することになる精神科医は、相手に寄り添った治療を実践する必要があります。それは患者本人のみならず、その家族やさまざまな関係者とも心を通わせるということです。お互いが理解し合い、また信頼し合うことは決して簡単なことではありません。だからこそ、相手と心が通じ合えたという実感は大きなやりがいにもつながるのです。
精神科医の仕事とは、人間の心理に対する研究です。環境がどのように人間の心理に影響を与えるのか、人間の精神に従事する者として絶えず研究を続けていかなければなりません。そして、そうした研究を通じて人間の精神がどれほど奥深いのか、どれほど広大なのかということを精神科医は知ることができます。こうした人間としての本質的なテーマを追求できるということも、また別のやりがいだといえるでしょう。
やりがいがあるから頑張れる!精神科医のお仕事
日本はストレスの多い社会だとよくいわれます。そのため、精神科医の役割は決して小さくありません。実際、精神疾患による患者の数はどんどん増えているとされています。精神疾患の代表ともいうべきうつ病は、人間関係が希薄になっている時代を象徴するような病気です。自分の悩みを相談することができず、自分の置かれた環境に対応できなくなった結果、精神疾患を引き起こしてしまうというわけです。
こうしたうつ病などの精神的な病は、まだまだ研究が発展途上という段階です。そのため、精神科医は新しい情報を常に得ながら治療を施していくことになります。精神疾患はほとんどが現代病であり、それだけに精神科医の仕事は医療の最先端ともいえるのです。
また、患者と近い距離で診察を行う精神科医は、その分だけ患者に寄り添った診察を求められます。信頼を得なければ成立しない仕事であるため、精神科医はより深く相手の心に分け入っていかなければなりません。難しい反面、患者の笑顔に触れられたときの喜びは大きいでしょう。
精神疾患を治療することは、答えのない問題に答案を与えるようなものかもしれません。難しいからこそのやりがいがあるから、精神科医として日々を頑張っていけるともいえるのです。