#16 医師が大学院に進学するメリットとは
医師として将来の選択肢を多く持つために、大学院で博士号を取るケースがあります。その場合、具体的に何を目指す人が大学院へ進学するのか、今回はその理由や生計の手段、博士号を取ることで変わるキャリアについてご紹介します。
大学院へ進むのはどんな医師?
一般的に、大学院へ進学する医師の多くは、自分の専門とする分野に関して基礎研究や臨床研究を行いたいという目的を持っています。医学の進歩は著しいもので、治療手段や薬品だけでなく、治療に利用するデバイスも日々進化しています。そのため、より高度な専門性を得るために、すでに医師免許を得ていながらも、さらに注目されている、あるいは解明されていないトピックに関して研究を行うのです。研究以外の理由としては、将来的に医学部教授になるという理由が挙げられるでしょう。専門分野のスペシャリストとしてはもちろん、医学部生への教育に力を注ぎたいという意志を持つ人は大学院へ進学し、博士号取得を目指します。この他にも、開業する際に、実績や信頼を示す意味で博士号を取得しておきたい場合や、キャリアアップの材料として博士号を持っておきたい場合に大学院への進学します。このように、進学する目的は個々人の将来設計によって異なりますので、医師としてのキャリアをよく検討し、その際に大学院への進学が必要であるか否かを判断しましょう。
在籍中はアルバイトで生計を立てる
大学院に在籍中は学費が発生する上、家庭がある身であれば家族の生活費も欠かせません。そのため、一般的に大学院に通う医師はアルバイトで収入を得ます。非常勤医師としてアルバイト契約をしている病院で、特定の時間あるいは特定の曜日に勤務します。大学院生の場合、平日の日中は研究があるため、アルバイトは主に夜間や土日になることが多いです。給与面においては、病院や科目によって差はありますが、医師という高度な専門職であるゆえ、基本的に日給は高額です。勤務日数次第では、月々の生活費や教育費に影響がない程度には収入を得ることができます。大学院への進学時は、月々いくら稼ぐ必要があるか目途を立て、適量のアルバイトを行いましょう。医師の仕事であれば、決まった曜日だけ定期的に勤務する「定期非常勤」や単発で入る「スポット勤務」など、多くの人材会社がWEBサイトを設けています。勤務地や希望条件に沿った求人を気軽に検索することが可能で、大学院へ進学しても収入を得ることは難しいことではありません。しかし、学費や予期せぬ事柄で出費が重なる時期もあるので、大学院進学を目指す上では計画的に貯金もしておきましょう。
博士号を取ることで広がるキャリア
大学院にて博士号を取得することで、医師としての選択肢は広がります。ただ、これはあくまでも「選択肢」における話なので、博士号を取得しているからといって、必ずしも確実なポストが用意されているとは言い切れません。しかし、博士号を取得することで、医学部教授や院長としての道を目指したり、医局内でキャリアを築くといった医師としてのさまざまな働き方や在り方を考えたりすることが可能となります。医師は、特に実績や経歴が出世に大きく関わりますので、上位のポジションを目指して多くの医師が一つでも多くの実績を持つために競い合います。この出世における判断材料の一つとして学位が挙げられるため、自分の武器として博士号を取得することは何も珍しいことではありません。また、現実的な問題として、年齢や身体能力を理由に臨床に携わることが難しくなることも想定されます。ビジョンが既に決まっている医師はもちろん、方向性に悩んでいる医師も、「あの時、博士号を取得していれば…」と先々で後悔することがないよう、博士号の取得を一度検討してみましょう。