#18 医師人生を左右する!?後悔しない転科のススメ
医師が転科を考えるきっかけは何でしょうか。外科として手術をこなしていく中で内科的治療の重要性を考えるようになったり、麻酔医として神経をすり減らしていく中で激務に疲れてしまったりと、医師ひとりひとりで抱える事情も異なります。医師にとって転科は一生に関わる問題なので、慎重に考えて行動したいところです。そこで今回は、後悔しないために知っておきたい転科のポイントについてご紹介します。
転科を考える医師は意外と多い?
転科の理由やタイミングは人によって異なります。例えば、最初に選択した診療科目が性格的に合わなくて辛い、診察を行っていく中で他の診療科目に興味を覚えた、などのケースが挙げられるでしょう。医師にとって性格的、技術的な向き不向きは今後の医師人生に関わる重大事項です。こうした場合は、向いていないと判断した時点で早めの決断が大切となります。また、結婚や出産によってライフスタイルが変わったことにより転科を考える人も少なくないようです。特に、激務とされる産婦人科や外科の医師は緊急オペや時間外労働が多く、家族との時間が少なくなりがちです。こうしたライフステージも転科のきっかけのひとつになるケースが多くあります。
転科のメリット・デメリット
転科のメリットは、ワークライフのバランスが叶えられること、転科をすることでしか得られないキャリアをつめることです。麻酔医や産婦人科医のように24時間体制で患者と向き合う仕事はとてもやりがいを感じる反面、実生活に少なからず犠牲を強いることがあります。家族との繋がりのあり方だけでなく、年齢を重ねるごとに体力的な面でもきつくなってくる場合も多いでしょう。その点、緊急呼び出しのない科目や年齢を重ねても経験によってカバーできる科目を選択すれば、より長く安定して医療の現場に携わることが可能です。また、将来を見据えたキャリアを積むことによって生涯年収を上げることにもつながります。一方、デメリットとしては、今まで積み重ねてきたキャリアを失うことです。一から専門医取得に向けて研修を行うことになるので、一時的に年収が下がることも予想されます。さらに、同年代や年下の指導医の下につくことになるため、キャリアがあればあるほど精神的に苦痛を伴うことも覚悟しなければなりません。
転科後の就職先探しにおける注意点
同じ医師でも診療科目によって働き方や収入、待遇などで大きく異なります。また、再就職先の病院の規模によっても収入や待遇に差が出てしまうでしょう。激務に耐えかねて転科を決意したのに、転職先の職場環境が前の職場よりもはるかに過酷だった、ということになると、転科をしたことが裏目になってしまうこともあります。こうした誤算を防ぐためにも、転職先における勤務形態の実態をよく把握しておく必要があります。また、未経験で転科可能な診療科目もあれば、未経験では受け入れ不可能な診療科目もあります。例えば、外科から内科への転科は比較的多いですが、内科から外科へは難しくなります。比較的転科しやすいのはリハビリテーション科や人工透析科などですが、転科しようと思っている診療科目が現在の診療科目と比べて給与水準が高いか低いか、転科後に受け入れ先はあるのかも、事前にしっかり考えて判断しましょう。
転科で医師としての幅を広げよう
転科は、これまでの専門科を生かしたり働きやすい環境を手にしたりすることで、さらなるキャリアアップを図れるチャンスでもあります。将来開業を考えている場合などは、幅広い診療科を経験することでより多くの患者数を確保することもできます。また、将来開業を考えているが今の専門科では難しいとわかった場合にも、転科することによってより患者のニーズに合った医療を提供することができるならば、それは大きなメリットと言えるのではないでしょうか。転科には特に年齢制限はありませんが、やはり若いうちの方がキャリアを積みやすく、転科後もスムーズに技術を取得することができます。医局とのしがらみに疲れた、なんとなく今の専門科が自分に合ってないような気がするなど、ただ漠然と転科を考えるのではなく、医師としての将来を見据えて早いうちから計画を立てることが大切です。