#31 外科医は激務!?その実態に迫る
ドラマや漫画の舞台によくなっている外科は、医師の中でも花型の仕事と思われています。外科医の大半は心臓病やがん、脳血管疾患などの直接的に命に関わる病の手術をし、その腕で患者を救います。 ただ、やりがいはあるものの仕事はハードだというイメージが定着しています。実際のところはどうなのでしょうか。
外科医が激務といわれる理由とは
外科医は激務ということで知られていますが、それはなぜでしょう。ひとえに、外科医で欠かせない手術の性質によるものです。すい臓がんや脳関係の手術ともなれば、10時間以上立ちっぱなしとなります。それも、ただ立っているだけではありません。予期しない出来事に遭遇すれば瞬時の判断も求められます。一瞬たりとも気を抜くことができません。一つ間違えるだけで外科医としての人生が終わってしまうようなリスクと隣り合わせなのです。
ようやく手術が終わったとしても、患者の術後の容体が気になります。十分に休息する間もなく次は病棟の仕事が始まります。人手不足の職場であれば休みも思うように取れません。
ただし、外科医の全てが激務という訳ではありません。医師が十分足りている病院であればそこまでキツイことはないでしょう。科によっても変わります。整形外科などであればゆとりが出てきます。また、高齢化社会が進んでいることから需要の見通しも明るいです。リハビリテーションがメインの病院であれば、さらに自分の生活も充実させられそうです。
外科医の待遇事情
一般外科の年収では、男性では年収1400万円から2000万円未満が4割程度です。しかし、そのほかは600万円から2000万円まで幅広く、医師によって年収の差が開いています。対して女性の場合は全ての人が年収1400万円から2000万円となっています。
基本業務は手術で、責任も重く体力的にも非常にハードな外科医です。それが反映され世間一般の水準よりは多くなってはいますが、手術後の呼び出しや休日出勤などがあることを考えると妥当かもしれません。
年齢や職場によっても賃金は変わってきます。大学病院や国公立病院の場合では、経験を積んで役職を得るまでの期間が長くかかるため若いうちの年収は高くはありません。民間では勤務する施設によりますが、相対的に安定した収入が得られます。
また、地域問題もあります。高度な技術が求められる手術は地方で行う病院が少ないため、それに応じて勤務医の年収も低く抑えられています。対して大都市圏では難易度の高い手術件数が多いため高収入が望めます。また、ハードである脳外科医や血管系の外科医は専門性が高いため待遇が良く給与水準も高くなっています。
外科医だからこそ救える命がある
専門の分野によっては緊急で手術に呼び出されることもしばしばで、生活を犠牲にしているというのも事実です。待遇は世間一般から比べれば良いかもしれませんが、あこがれだけでやっていける仕事ではありません。それでも、自分が関わることで直接病気を治したり命を救ったりできるのは大きなやりがいとなります。しかし、それは裏返せば辛さでもあります。人を救いたいと思っているのに、失敗して患者が命を落とせば自責の念に駆られることもあります。やりがいの反面責任の重い仕事です。
命に関わらない部分でも、外科が人を救うことはあります。命に別条がないからといっても、容姿を気に病んで生き辛さを抱える人がいます。例えばやけどや事故で顔や体の表面が変形した部分を修復することも外科だからできることです。乳がんで取り去った乳房を再建させることは、形成外科の仕事です。患者は乳房再建で生きる意欲を取り戻すということもあるのです。
何にせよ、手術という方法を用いて、病巣を直接取り除いたり異常な状態を修復したりと、直接治している実感があります。人を救う最前線にいることは、何よりの仕事の原動力となっています。