#47 小児科医は激務?仕事量と年収のバランスは?
医師が不足し、そのしわ寄せで激務となっているといわれているのが小児科医です。子どもの笑顔が見たいと小児科医を志す人にとって、やはり気になるのがその仕事量と年収です。まずは、基本的なことから押さえていきましょう。
小児科医は子供が好きでないとできない?
言葉をまだ話せない子どもの様子や表情から、病状を慎重に観察しなくはならないのが小児科医です。子ども好きの人がなるというイメージがありますが、決してそれだけで務まるわけではありません。なぜなら、赤ちゃんやまだ上手く説明できない子どもの場合、保護者からいかに話を聞き出すかが診察のカギとなります。診断内容を親に対して分かりやすく説明する能力も求められます。つまり、保護者とのコミュニケーション能力や洞察力も必要です。子どもが好きなことはもちろんですが、大人とのコミュニケーションが上手く取れれば問題はありません。
小児科医の仕事内容!患者さんは新生児から15歳まで
小児科が診察の対象とする患者は赤ん坊から学童までで、体の部位を問わず診察・治療を行います。大人の場合は疾患がある体の部位ごとに診療科が設けられていますが、小児科は全てを受け持つだけに幅広く知識を持っていなくてはなりません。乳児では定期的な検診やワクチン接種も出てきます。注射を嫌がり泣きわめいたり逃げ出したりする子どもの対応も小児科ならではの風景です。特にインフルエンザの時期などは患者数も増え仕事も格段に多くなります。
さらには、はしかやおたふく風邪、ぜんそくなど子どもにとって気を付けなければならない病気もあります。それぞれに応じた専門的な知識を学ばなくてはなりません。例えば、赤ちゃんと小学生では同じ病気でも処方する薬は変わってきます。体重に応じて出す分量も違います。カプセルなのか錠剤なのか。まだ飲み込めないのであれば、食べ物に混ぜやすい粉薬にするなど処方を使い分けなければいけません。
激務の小児科医!年収はアップ?
小児科医が激務だというのは、なり手が少ないため負担が大きくなっていることが原因です。常勤の医師が不足していれば、内科医であろうと何だろうと忙しいことに変わりはありません。小児科医に限ったことではありませんが、地方では医師不足が問題で常に不足している状態です。そのため、都市部よりも地方では医師1人にかかる負担が大きくなるという傾向があることを頭に入れておきましょう。小児科医では女性の割合が比較的他の科よりも高く、出産・育児後に復帰しやすい環境づくりが進められています。地方に散らばっている小児科の医師を拠点病院に集め、労働時間を短縮しようという動きもあります。
月収は勤務先の病院によってさまざまですが、20代では30万円から50万円、30代で40万円から60万円、40代では50万円から80万円程度です。平均年収は1000万円前後となります。救急対応を行う総合病院の小児科医などでは、相場以上の好待遇を提示しているところもありますが小児科医が1人だけだったり、外来と入院を同時に対応しなくてはならなかったりします。事前によく確認しましょう。
小児科医を続けるために開業する?勤務する?
医師を続けていく上で考えなくてはならないのが、勤務医でい続けるのか開業するのかということです。勤務医でいる場合、どうしても労働時間の長さや収入の面で不満が出てくることがあります。勤務医は救急や当直があるため拘束時間が長くなります。月の休みも少なくなっています。開業すれば休日や労働時間は自分が決めて調整することができます。ただし、福利厚生はありません。
収入面では開業医の方が一般的に高収入ではありますが、事業主として借入金についても考えに入れなくてはなりません。また、自身が経営者であるので休診にしたならば即収入がなくなります。勤務医では他の医師に交代してもらったり、福利厚生を受けられたりというメリットがあります。
いずれにせよ、開業する場合は医師としての知識や技術の他に、経営者としての意識が不可欠となります。