医師の仕事・働き方・キャリアプランについて

#57 使命が高い産婦人科医の年収や適性とは?

生命の誕生に大きく関わる産婦人科医の仕事。赤ちゃんだけでなく、母親の体のケアも大切なため、責任感が強く求められます。そんな使命が高い産婦人科医に向いている人とは、どんな人なのでしょうか。また、年収はどれくらい得ることができるのでしょうか。ここでは産婦人科医の年収や適性などについて説明します。

使命が高い産婦人科医の年収や適性とは?

どうすればなれる産婦人科医!その適性とは?

産婦人科医になるためには、まず医科大学や大学の医学部で6年以上学ぶ必要があります。医科大学や医学部を卒業した後、今度はいろいろな診療科で研修医として勤める「卒後研修」を2年以上経験しなければなりません。卒後研修を終了した後に、産婦人科を選択することで初めて産婦人科医となることができます。
さらに、産婦人科医には「産婦人科専門医」と呼ばれる、産婦人科についての高い知識と技術を持ち合わせた専門医が存在します。産婦人科専門医になるためには、日本産科婦人科学会が実施する試験を受ける必要があります。しかし、試験は産婦人科医になってすぐ受けられるわけではなく、まずは日本産科婦人科学会が指定する病院で3年以上の研修を受けなければなりません。
また、試験には第一次審査と第二次審査があります。第一次審査では症例レポートや論文などの提出が求められ、第二次審査では筆記試験と面接試験を受ける必要があります。これに合格すると晴れて産婦人科専門医となります。
産婦人科医に向いている人は、精神的な強さを持ち合わせている人です。産婦人科医は赤ちゃんの誕生に立ち会う素晴らしい仕事ですが、時には悲しい瞬間と向き合うこともあります。また夜勤や当直も多いため、体力も必要でしょう。女性の精神的な支えとなることも大切なため、コミュニケーション能力の高さも求められます。

使命高き産婦人科医だからこそ自分のQOLも大事!

QOLとは「Quality Of Life」の略で、日本語で「生活の質」という意味です。自分の生活がどれだけ充実しているかを表す概念であり、QOLが高いと充実度や幸福感が高く、QOLが低いと生活に満足できていない状態となります。
当直や夜勤が多いことで体力的に大変であることや、医療訴訟が多いといわれることなどから、産婦人科医のQOLは低いというイメージがあるようです。しかし、日本産科婦人科学会などの努力により、産婦人科における医療訴訟の数は減少傾向にありますし、産婦人科医を守る制度も向上しています。また、産婦人科医にとってQOLが大切であるという認識も強まっています。産婦人科医は、生命の誕生をサポートするという強い使命を持っている医師。だからこそ、充分に力が発揮できるよう、自分自身の生活を充実させる必要があるでしょう。

産婦人科医の年収推移と医師数の推移

さまざまな診療科がある中でも、産婦人科医は比較的年収が高い職業です。勤務形態や勤務する病院などによって給与の額は大きく異なりますが、平均年収は約1500万円となっています。
年齢別にその推移を見てみると、20代の産婦人科医の年収は600万円未満であることがほとんどです。30代になると、1000万円から2000万未満の間と年収の幅が大きくなってきます。40代の産婦人科医の場合は、2000万円以上の年収を得ている人が半数以上となり、少ない人でも1000万円といったケースが多いようです。50代になると、半数近くの年収が1400万円から2000万円となり、2000万円以上稼ぐ人は3割ほどとなります。しかし、60代になると再び半数以上の医師が2000万円以上と、高い年収を得ています。
また、産婦人科の医師数の推移は次の通りです。厚生労働省が2年に1度行っている「医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」の「診療科目別に見た医療施設に従事する医師数」によると、平成10年度の産婦人科医の数は1万916人でした。その後、その数は徐々に減少し、平成14年には1万618人、平成18年には9592人となってしまいます。しかし、平成22年には1万277人、平成26年には1万575人となり、少しずつですが増加傾向が見られます。

トラブルに巻き込まれない産婦人科医のポイント

産婦人科医がトラブルに巻き込まれないためには、ガイドラインの把握が必要不可欠です。ガイドラインとは、より良い医療を実施するために作成された資料のことです。産婦人科におけるガイドラインは、日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会が合同で発行しています。ガイドラインに沿った医療を実施することで、妊婦や赤ちゃんをはじめ、患者を守ることができるでしょう。
また、インフォームドコンセントを充分に行うことも大切です。インフォームドコンセントとは、医師が患者に治療方針などをしっかりと説明し、患者が納得したうえで医療を実施することです。このとき、インフォームドコンセントの記録をきちんと残すようにしましょう。患者やその家族に、リスクなどについて充分に理解してもらうことで、トラブル回避につながるでしょう。

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