病院の特色
1. 循環器科
循環器科は急性心筋梗塞、不安定狭心症など緊急PCIを要する疾患の受け入れ、不整脈疾患の紹介患者さんに対応しているほか、高血圧などの慢性疾患管理や院内での循環器疾患でのコンサルトなども行う。
2010年度の実績は心臓カテーテル検査が129件、PCIが237件、緊急CAG・PCIが54件などとなっている。
「この医療圏の中の最初の駆け込み場所であり、新潟市の東の関所でもあります。これからも新潟市民病院にバックアップしてもらいながら、ゲートキーパー的存在でありたいですね。新病院に移ったら、不整脈に対してのアブレーション治療も始める予定です。リハビリ室も広くなりますので、心臓リハビリテーションも開始しますし、かえつクリニックと連携し、末梢動脈疾患に対するカテーテル治療も検討中です。また、睡眠時無呼吸症候群は呼吸器科との協力体制で進めていきたいですね。さらには、将来、神経内科と透析科と連携した血液センターが設立できれば理想的です。」
2. 消化器科
2010年にカプセル内視鏡検査を開始し、小腸の疾患の発見に寄与することになった。その結果、検査自体も増え、2010年度は上部消化管内視鏡検査は5933件、下部消化管内視鏡検査は1225件という検査実績を積み上げることに繋がった。しかし、現在の内視鏡室は約20年前に作られたもののため、狭隘化が問題となっている。新病院では3倍の広さになることから、回復室も充実する予定で、さらに多くの患者数が見込まれる。
がん治療ではERCPも積極的に進めており、2010年度には113件の実績となっている。2011年度には炭酸ガス送気装置の全面的な導入が行われた。
「当院の中で最も充実した内容を持つ診療科です。現在は5人のスタッフが在籍していますが、若手医師の育成が課題です。そこで様々な研究会や学会に参加してもらい、演題発表を行っています。2010年11月には原田医師がロンドンの学会に胃がんの診断と治療に関する演題を出しました。こういった最新の医療を吸収できる機会を病院としても作っていこうと考えています。」
3. 神経内科
神経難病の拠点病院であり、秋葉区周辺の難病の患者さんへの対応を行っている。CT-MRIも24時間体制で撮影可能であり、脳血管障害の超急性期治療としてアルテプラーゼによる血栓溶解療法を行うなど、多くの症例を持つ。日本神経学会准教育施設であり、若手の神経内科医の育成にも力を入れている。
「高齢の患者さんが多く、認知症に積極的に対応しています。新病院では診察室が広くなるほか、障害者病棟とリハビリ室が同じフロアになり、リハビリ室の面積も2倍になりますので、脳卒中や廃用症候群などの早期リハビリがスムーズになります。脳卒中などの病状安定後の回復期リハビリテーション病棟での訓練継続も行います。神経内科のリハビリは非常に需要がありますので、維持、発展に努めていきたいです。」
4. 外科
2009年の外科の手術件数は全身麻酔が110件、腰椎麻酔が60件、局所麻酔が87件、総数で257件であった。下越病院の特徴としては、全身麻酔110件のうち、80歳以上の患者さんの手術が26%、70歳から79歳までの患者さんの手術が31%と、70歳以上の患者さんの手術が半数以上を占めることである。高齢者の手術は悪性腫瘍によるものが多く、胃がん、大腸がんがほとんどで、特に大腸がんが47件と増加傾向にある。
「6月に1人が研修から帰任しましたので、新病院には充実した体制で臨めます。新病院では消化器内科と外科が同じ病棟に配置されますので、診断から外科治療まではより円滑に進行し、患者さんの利便性も高まることと期待しています。」
5. 呼吸器内科
2人の常勤医師が在籍し、アレルギーや慢性呼吸不全など、幅広く診療している。日本睡眠学会認定施設に指定される見込みとなっている。
6. 整形外科
整形外科は日本整形外科学会の認定研修施設です。
「地域のニーズに応えきれていないのでより充実させたいですね。整形外科医師を大募集中です。」
7. 小児科
「病院の小児科としてどう特色を出していくか。アレルギーの専門医もいますし、さらに専門性をどこに持っていくのか、これからの検討課題です。」
8. 臨床研修
下越病院では1979年からの臨床研修の歴史を持ち、その内容も新潟県では珍しい独自のものである。後期研修では天理よろづ相談所病院や済生会宇都宮病院などでの外部研修も行う。
また、高校生や子ども向けの医療体験なども開催するなど、医師や医療スタッフの育成には幅広く力を入れている。
「慣習や文化は院内だけでは発展しませんので、後期研修では進んでいる臨床研修病院などにも行かせていますが、『分化し、統合しよう』が合言葉なので、行かせっぱなしではありません。専門医取得を目標として、給与保障もしながら行かせています。現在、3名いる後期研修医のうち2名も早々に出ていきますが、全ては本人の技術力向上を願ってのことです。進んだ医療を知ることは医師としてとても大事であり、私も短期的なものが多かったのですが、そういう経験を積んでいます。後期研修に限らず、医師が技術を上げていく機会は必要です。希望があれば、生涯教育に関しても、極力、応えていきたいと思っています。」
9. 災害拠点病院
下越病院は1964年の新潟地震のときから災害支援活動を積極的に推進してきた。新潟地震では参加者のべ400人を超える医療班が1カ月半に渡って活動し、取り扱った患者さんの数は約1万人に達したという。
1995年に阪神大震災では全国の民医連職員とともに東神戸病院での救急治療や地域を訪問して、健康相談活動を行った。
2004年には中越地震が新潟を襲い、民医連のながおか生協診療所、かんだ診療所がデイサービスのスペースを開放し、血圧チェックや健康相談、雪下ろしボランティアなど、多彩な取り組みを行った。2007年には中越沖地震が再び新潟を襲い、新潟県知事からの派遣要請に応え、DMATを派遣し、厚生連刈羽郡総合病院を拠点に被災現場での診療や救急医療の一端を担った。このDMATは2011年の東日本大震災の際も出動し、仙台医療センターでのER支援のほか、下越病院への患者さんの搬送などの任務を果たした。
「2004年の中越地震の後、DMATの呼びかけがあり、私どもは最初に手を挙げました。医師会の支援、医療は体系的にはできなかったし、統括や指示も不可能でした。そこで病院独自のDMATが必要だと痛感しましたね。2007年には巡回訪問でお手伝いをし、DMAT以外も避難所救護などに当たったんです。東日本大震災では、その日のうちに福島に行こうとしたら、岩手、宮城に行くことになり、盛岡の域内搬送拠点のお手伝いをしました。その時点ではあまりニーズはなく、翌日は、仙台医療センターに行きました。」