病院の特色
八千代病院では、各疾患に対応できる治療体制と、それを支援する看護体制が一体となって、「安心して治療、看護を受けていただける療養環境」を提供している。入院生活の快適性を求めることはもちろん、予測される転倒などの事故や感染などの防止に重点を置いている。
また、療養環境が患者さんに与える影響も大切にし、静かで豊かな自然の中で、プライバシーを保ちながらも、温かい心配りを行っている。
1. 精神科急性期治療病棟
2007年12月にオープンした病棟である。入院期間を長くても3カ月以内とし、早期に入院治療を行い、早期に退院して在宅に帰ることを目指している。開始時の病床は44床で、52床程度まで増やすことが可能だ。
病室はアルコールや薬物中毒者を除いた、様々な疾患や状態に対応できるように、4つのユニットに分かれている。Aユニットには5床の保護室と4床の準保護室、1床の観察室を備えた。Bユニット、Cユニット、Dユニットは閉鎖処遇を行うように作られているが、Dユニットは開放処遇にも対応している。各ユニットには食堂、談話室、浴室、洗濯室などがあり、多くの個室にはトイレ、洗面台、収納家具などが完備されている。入浴についてもユニットバス、シャワーブースが5カ所ずつあり、男女交代制でいつでも使用可能であるため、今までの精神科にはなかった療養環境で専門的な医療を受けることができる。
「急性期治療病棟では、いかに早く社会復帰にこぎつけ、社会生活を維持していただくかということが大切です。できるだけ短期間、長くても3カ月以内の退院が目標ですが、家庭を含め、社会生活における環境などへの配慮も含め、どのような援助の工夫が必要か、入院当初から退院に向けての方針を立てることが求められています。
障害のある人もない人も、その地域でともに暮らせる社会を目指して、2006年に自立支援法が施行されましたが、精神科医療については、入院医療中心から地域生活中心へという流れに変わりはないと思われます。受け皿となるグループホームなどの住居や精神科訪問看護や相談支援体制などの地域ケアシステムなどの整備がなかなか進んでいない現状ですが、私どももこの急性期治療病棟の建設を契機として、『自立と共生できる社会』と『安全で安心できる社会』が両立できるような、新たな病院の役割と機能を実現していきたいと考えています。」
2. 精神科療養閉鎖病棟
半数以上の患者さんが車椅子で生活している病棟である。患者さんそれぞれに作業療法が計画され、日々のスケジュールに組み込まれている。月に1回、レクリエーションがあり、スタッフのもとで大きな声を出したり、体操をして身体を動かしたり、皆でおやつを食べたりする。
環境整備には力を入れており、安全、清潔で、安心できる環境を提供している。
3. 特殊疾患療養病棟
47床で構成されている。80%以上の患者さんが車椅子で生活しているため、日常生活援助が必要な患者さんが多く、毎日の食事や補水は広いデイルームで行っている。ADLの維持を第一に考え、安全で安楽な日常生活を送れるように取り組んでいる。中でも、食前の手洗いや食後の歯磨きなどの生活のリズムを大切にし、スタッフが声をかけることで、患者さんの返事や反応を待つが、習慣が身につき始め、声かけのみで、手洗いなどが自ら行えるようになった患者さんもいる。
「入院している患者さんが合併症を起こした場合などはこの病棟で診ています。精神科と内科の医師が合同で診ていることが特徴ですね。病棟医も職員も熱心で、活気のある病棟です。高齢の患者さんが多いので、大きな声が飛び交っていますね。」
4. 重度認知症治療病棟
高齢社会の進行により、認知症の患者さんは現在の3倍に増えると予想されている。八千代病院では認知症の予防はもちろん、ほかの疾患でないかどうかの鑑別診断を行ったうえで、認知症の進行を遅らせたり、症状の軽減に努めている。
「私どもの中田医師が専門にしてきた分野で、患者さんが多くなってきましたので、独立させた病棟です。入院が必要な、かなり重度な患者さんばかりなのですが、その月や季節に合わせたレクリエーションを企画しています。また、おやつは患者さんが最も楽しみにしているものですので、担当スタッフが工夫を凝らした飾り付けなどを行って、頑張っているようです。」