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患者と真摯に向き合い、地域医療に貢献する病院

院長メッセージ

 このたび公立多良木病院ならびに企業団の企業長を拝命致しました。簡単ではありますが、自己紹介をさせていただきます。大分県生まれの52歳です。昭和61年に熊本大学第二外科に入局し、大学病院・熊本赤十字病院での研修を受け、大学院の後、上天草総合病院に3年間、済生会熊本病院に10年間、済生会みすみ病院に8年間在籍しておりました。前任地の済生会みすみ病院は高齢化率35%と日本の平均の10年先を行く高齢化地域にあります。やはり医師確保に苦労しておりました。半径20㎞以内に病院はなく、少ない医師数で急性期から亜急性期・回復期を経て在宅まで、地域に根差した医療を提供してきました。
伝統ある多良木病院の院長を務めることは大変光栄なことでありますが、同時にその重責に身の引き締まる思いがします。現在、多良木病院は医師の確保に大きな苦労をしております。この状況は、当院に限らず日本中の多くのへき地の病院が直面している問題でもあります。
 医師不足・医師の偏在は現在の医療制度の抱える最も大きな問題点のひとつとなっております。1980年代前半には医師過剰時代が到来するとの予想のもと、医学部の定員削減がなされています。しかし、実際は常に医師数は不足しており、認識が改められたのは2000年代後半です。また、新臨床研修医制度により、医師の地域偏在がおこっており、医局からの派遣に頼っていた郡部の病院には大きな打撃となっております。医師不足は労働条件の悪化を招き、医師の離職を招くという悪循環を起こします。医師の過重労働、リスク、ストレスを削減するため診療に制限をかけざるを得なくなります。財務状況の悪化は達成感を低下させます。負のスパイラルにより地域医療は崩壊の危機に陥ります。
 しかしながら将来的な展望につきましては、決して悲観的に考えてはおりません。総合診療専門医制度のように地域医療参加へのインセンティブとなる制度や熊本県地域医療支援機構の存在は大きな光明です。また、地域の開業医の先生方・基幹病院の先生方・行政の方々から多くの温かい励ましのお言葉を頂き、多くの方々に支えられていることを実感しました。更に、心強く感じられるのが、スタッフのモチベーションの高さと現役、OBを問わず先生方の当院に対する愛情の深さです。着任する前に色々な方々からお話を伺いましたが、多くの先生方が当院に対する愛情を持っていらっしゃると感じました。OBの先生方の中には、また多良木で働きたいとおっしゃる先生がたくさんいらっしゃると聞いております。OBの先生方のお力添えが頂ければ何よりですが、叶わないにしてもお口添えなどしていただき当院の良さをアピールしていきたいと考えています。
 職場に求められるものは、働いていて楽しいこと・達成感・職場に対する誇り等だと思っています。楽しいから一緒に働こうと全職員が胸を張って言えるような病院、そしてまた、誇りをもって働けるような誠実で質の高い医療を提供できる病院であり続けられるように尽力したいと思っています。どうぞよろしくお願い申し上げます。

2014.04.01 掲載 (C)LinkStaff

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