運営・経営方針
1.運営・経営方針
公立宍粟総合病院はいわゆる僻地にある病院なので、医師確保と看護師確保が難しい課題となっている。
「病院の建物が築20年ほどになりますので、施設の改修や医局の改善にも取り組みたいのですが、医師確保と看護師確保が最大の課題ですね。現在、何とか確保できていますが、経営的には赤字が続いています。病床利用率を上げることで解消していきたいと思っています。しかし、僻地病院であっても医療の質を高く保とうということで、医療安全や救急などにも力を入れています。都心の病院との連携も盛んですね。」
大学医局の引き上げなど、医師確保が難しい中で、2014年4月には整形外科の手術が再開された。
「こういう僻地で整形外科がなくなり、とても困っていました。再開できたのは大阪医科大学のお蔭です。大阪医科大学がこの地域をカバーしたいと提案してくれて、兵庫県としてもこのあたりの医師不足は分かっていたので、兵庫県が寄付講座をつくり大阪医科大学と当院の間に入って調整してくれました。常勤医師ではなく、非常勤医師ではありますが、手術が再開になったので、住民の皆さんには喜ばれています。」
一方で、基幹型の臨床研修病院として、初期研修医の教育にも熱心に取り組んでいる。
「兵庫県の養成医師の研修病院ですから、毎年1人は必ず確保できています。H27年度は、県養成医師(兵庫県の地域枠で兵庫医科大学に入学)1名、一般のマッチング1名が来ることになっています。今後も引き継いでいけたらと思っています。」
2.地域連携室
公立宍粟総合病院では地域連携室を2005年という早い時期に設立している。
「姫路市の病院に患者さんが流れてしまう時代があったんです。そこを退院されたあとで、こちらに帰ってくるにしても、各科の対応が大変だったんですね。ちょうど地域連携というシステムのあり方も言われ始めた時期でしたし、当院でも地域連携室を作って、看護師、事務スタッフ、ソーシャルワーカーを配属しました。また、地域の開業医さんとの連携も地域連携室で行っています。当院は宍粟市で唯一、急性期医療を守っている病院ですし、近くの個人病院では慢性期医療を行っていますので、当院に入院して日数が経った患者さんに関しては退院調整をするなどの連携を取っています。」
3.今後の展開
今年は看護師の官舎を作ります。当院はこれまでも官舎を充実させていたんです。自前で建てた官舎も2つあるし、それ以外にも近くのマンションを安く病院側で借り受けています。ただ、官舎に住むのは医師ばかりだったのですが、要望が多かった看護師の官舎も作れば、看護師のみならず、医師も来やすくなると期待しています。去年、開設した託児所は看護師確保に役に立っていますし、子どもさんがいる女性医師の方にも使っていただきたいですね。
現在、当院の女性医師は産婦人科と小児科に1人ずついます。昔は外科にも1人いたのですが、その女性医師が子どもを近くの保育園に預けていたんです。「病院にも託児所があればいいのに」という意見があったので、動き始めたんですよ。これには行政からのご理解もありました。預けるところがあれば職場復帰も早くなります。子どもがある程度、大きくなるまで待っていたら2年ぐらいかかりますが、院内託児所なら1年で復帰しても安心ではないでしょうか。当院には小児科もありますので、何かあれば診てもらえます。