病院の特色
1.内科
急性期病院として、外来診療と入院診療を行っているほか、珍しい専門外来である和漢診療外来を開設している。
「現在、消化器内科医1人、呼吸器内科医1人、内分泌内科医2人の常勤医師に加え、非常勤ですが、週に4日の循環器内科医が1人いますので、バランスのいい構成になっています。ただ、若い医師が少ないんです。内科に関しては当院独自の採用活動が必要ですし、家庭医・病院総合診療医研修プログラムを策定したのも若い医師に来ていただきたいからなんですね。また、亀田ファミリークリニック館山と研修協力の連携が始まりましたので、今後は亀田ファミリークリニック館山の研修プログラムに乗っている医師も当院での研修を行いますから、若い医師に活躍していただける環境になるはずです。」
2.外科
国保成東病院時代から歴代の院長がリードしてきた診療科である。主に消化管と乳腺、肝臓、胆嚢、胆管、膵臓などの手術を行っている。食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、肝がん、胆管がん、膵がんなどの悪性疾患以外にも、食道憩室、食道アカラシア、胃十二指腸潰瘍穿孔、胆石・胆嚢炎、胆管結石、腸閉塞、虫垂炎、鼠径ヘルニア、痔核・痔瘻・肛門周囲膿瘍、粉瘤などの良性疾患も扱う。
腹腔鏡下手術では、胆嚢切除術のみならず、大腸がんで積極的に腹腔鏡下手術を行い、半数以上の症例で腹腔鏡下大腸切除術を行う。また、抗がん剤治療や緩和医療に積極的に取り組んでいるのも特徴である。
「軽症のものから専門性の高い医療まで、地域に根ざした総合的な外科診療が行えるよう取り組んでいます。手術の特徴としては腹腔鏡下手術が7割を占めることですね。当院は千葉県がん診療連携協力病院で、胃がんと大腸がんに関しての山武、長生、夷隅地域内での連携を行っています。千葉県がんセンターとの連携も厚いです。拠点病院と早期に連携することで、当院に帰していただけます。当院には緩和ケア病棟もありますので、2014年は190人を帰していただき、そのうち144人の看取りを行いました。今後は超急性期医療ではなく、二次救急の範囲内での急性期医療と亜急性期医療に特化していきたいと思っています。」
3.小児科・小児外科
小児科では一般的な診療のほか、心疾患や神経疾患の専門外来を行っているので、心雑音や心電図異常などの心疾患や痙攣などの神経疾患の患者さんも少なくない。また、最近はヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、子宮頚癌予防ワクチンが接種できるようになった。
「常勤医師1人、東京女子医科大学八千代医療センターからの非常勤医師1人の体制で、千葉大学の教授による専門外来も行っています。軽い症状でしたら、地域の開業医さんがいらっしゃいますので、地域連携を大事にしています。」
一方、小児外科では鼠径ヘルニア、臍ヘルニア、虫垂炎、腸重積、乳児痔瘻、停留精巣、陰嚢水腫、包茎などの診療を行っている。小児用の腹腔鏡機器を導入し、積極的に腹腔鏡下手術を行う。特に小児の急性虫垂炎では、腹腔鏡下虫垂切除を第一選択として、ほぼ全例に適用している。
「黒田浩明医務部長が担当していますが、非常にやる気のある医師で、どんな手術でも行っていますね。腹腔鏡下虫垂切除の件数も非常に多く、休日でも実施していますよ。腹腔鏡だと、どこに傷があるか分からないですね。」
4.産婦人科
産婦人科では子宮がんや卵巣の検診、子宮筋腫、卵巣のう腫などの良性腫瘍、子宮内膜症、婦人科感染症、更年期障害などを扱う。手術が必要な場合は可能な限り、内視鏡手術で行っている。さんむ医療センターで治療ができない場合は千葉大学医学部附属病院、千葉県がんセンター、千葉メディカルセンターなどを紹介している。
また、山武市で唯一の分娩取り扱い医療機関として、里帰り分娩や妊婦検診のみの患者さんにも対応している。
「当院での手術は良性腫瘍が中心で、外科医師も手伝っています。分娩に関しては、3月に東金市の開業医さんが閉院されたんです。年間500件ほどなさっていた施設でしたが、今後は東金市も含めても分娩施設は当院だけになってしまいます。ただ、当院としても月に15件が限界ですが、地域の分娩を支えていきたいですね。」
5.整形外科
一般整形外科、救急外傷に加え、脊椎脊髄疾患の治療に力を入れている。検査ではMRI、CTなどの画像検査、針筋電図や神経伝導速度測定などの電気生理学的検査、骨粗鬆症に対する骨密度検査(DEXA法)などが可能である。治療では各種ブロック注射や手術治療を行う。
「患者さんの多い診療科ですね。高齢化が進んでいる地域ですから、疾患としては外傷や頚部骨折が多いです。もともと得意にしていたのは脊椎でしたが、最近は股関節にも力を入れています。人工関節置換術の手術も積極的に行っています。」
6.緩和ケア病棟
がん専門施設からの患者さんを速やかに受け入れ、継続した療養を行う。抗がん剤治療はしないものの、患者さんとご家族の苦痛を取り除き、その人らしく快適な生活を送れるように注力する。
「内科医師が一斉に退職したときに、私は主任外科医長でしたが、内科の仕事を担当することも多くなってきました。外科医師としてのキャリアをある程度、積んだら、緩和医療をやってみたいと思っていましたし、以前から看護師や薬剤師の中で終末期の患者さんを看たいという声も上がっていましたので、そういったスタッフと一緒に2007年の秋から始めることにしました。その後、内科医師も集まってきましたが、私の診療の主軸も徐々に緩和ケアに移していきました。私が専門にしてきた消化器疾患の大半ががんです。すい臓がんなどはなかなか完治しませんし、緩和ケアの必要性は分かっていました。医療崩壊が起きたことがきっかけになりましたが、仲間に恵まれて、いい雰囲気で仕事ができています。」
さんむ医療センターは千葉県がん診療連携協力病院であるゆえに、拠点病院との早期連携が可能である。
「拠点病院のみならず、初期医療が遠方の病院であった方も受け入れています。早期連携により、抗がん剤治療の終わった患者さんを地域で診たいですね。訪問看護ステーションを併設していますので、在宅での看取りも行っています。在宅での看取りは年間20例から30例です。もちろん、看取りまで行かなくても、お加減が悪くなったら当院緩和ケア病棟に入院していただいたり、在宅以外の選択肢を多用に確保しています。」
また、さんむ医療センターではピア・サポートの活動もしている。「ピア」とは仲間という意味で、大腸がんや乳がんを体験した人同士が助け合う活動がピア・サポートである。
「臨床心理士の資格を持つボランティアの方にサポートしていただいています。隔週ですが、ブースを開き、がん治療での悩みごとなどを話し合う場になっています。」