病院の特色
1.神経内科
埼玉県内のみならず、東京都や関東全域から患者さんが来院している。大学病院などの急性期病院からの紹介もあるが、一般病院での入院や在宅療養を経た患者さんの方が多い。筋萎縮性側索硬化症(ALS)を中心に、神経難病や脳血管疾患、脳腫瘍、脳外傷、脊髄損傷などが原因で人工呼吸器の管理が必要な患者さんを受け入れている。6割の病床をALSの患者さんが占めているという。
「神経内科専門の病院であるために、医師、看護職、リハビリテーションスタッフなど、皆が神経疾患に携わっているのだという専門職としての意識を持って対応しています。これは他の病院にはない特徴であると思います。専門的知識を有し、経験も積んでいるので、神経難病の患者さんが安心して療養されています。生活の場としてQOL向上も目指しています。」
狭山神経内科病院はALS等の人工呼吸器が必要な、最重度の患者さんを主に受け入れている。神経難病の中では比較的数が多いパーキンソン病に関しては、自発呼吸が保たれていれば受け入れ対象外となっている。
「パーキンソン病の患者さんを受け入れないというわけではないんです。軽~中等症の患者さんであれば、一般病院の療養病棟や有料老人ホーム等、受け入れ先を探すことはそれ程困難ではありません。患者さんの重症度に応じて、受け入れを検討しています。」
また、職員の中にイベント委員がおり、夏のフラダンスや冬のクリスマス会など、患者さんが季節感や社会、他者との繋がりを意識できるようなイベントを豊富に開催している。
「イベントは長期の入院中で、自宅になかなか帰ることができない患者さんのために、看護部が始めたものなんです。意識が清明な患者さんに病院生活の中での楽しみを見つけてあげたいという思いで始めたことが今でも続けられています。行う回数も増え、内容も多彩になっていますね。」
2.内科
狭山神経内科病院では内科も標榜している。
「神経内科で扱う疾患の患者さんの中にはもともと持っている生活習慣病等を診ないといけない方もいますので、内科も必要なんです。また、入院後の経過中に別の疾患が見つかる方もいますね。中高年の患者さんが多いので悪性腫瘍が見つかるケースもあります。神経内科の疾患を中心にした病院ではありますが、このように内科の患者さんも少なくありませんから、消化器や循環器等の専門知識を持った内科医師にいらしていただけたら有り難いです。」
3.リハビリテーション科
狭山神経内科病院ではほぼ全ての患者さんが人工呼吸器を装着している。中でも筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者さんが多いため、入院リハビリでは文字盤やパソコンを使った意思伝達装置などを導入することで、コミュニケーション方法を確立したり、呼吸リハビリテーションなどの呼吸器合併症の予防を行っている。また、車椅子散歩、ベッド散歩や手工芸、園芸を通して、質の高い療養環境の提供を目的に、リハビリテーションスタッフが介入している。
一方、外来リハビリは在宅療養中で通院可能な神経難病の患者さんが対象である。患者さんの状態に合わせ、個別に理学療法士、作業療法士、言語聴覚士による訓練を実施している。
さらに、2011年には訪問リハビリを開始し、地域の神経難病の患者さんを対象にしている。
「リハビリといえば回復期リハ等、症状の改善が期待できる疾患に行われることが多いのですが、当院のリハビリテーション科では難病患者さんの機能維持、QOLを重視した内容になっています。そんなリハビリの大切さを知るスタッフは非常に意識も高く、意欲的ですね。」