運営・経営方針
1.運営・経営方針
奥村病院長に運営や経営の方針について、伺った。
「全国の250床以上のDPC病院の中での回転率はトップ10に入っています。でも、儲けてはいません(笑)。当院は180室のうちの118室が個室ですが、個室料金をいただいていないからです。民主医療機関連合の病院は病気になるときは貧富の差がないという考え方なんです。緩和ケアは23床の全てが個室ですが、闘病生活が長くなると、がん治療にはお金がかかります。高額医療費制度があっても、まして働き盛りの患者さんでしたら、生活のことも不安になりますね。それなのに個室料金をいただいていたら、生活を圧迫します。そこで当院は無料低額診療事業を行い、固定資産税を免除してもらっています。DPC制度のもとでは多くのスタッフがある程度の点数のある疾患の治療をしていかないと経営が成り立ちませんが、そういった治療の対象にならない患者さんが見放されつつあります。当院は医療難民、介護難民、がん難民を絶対に出さないことをモットーに、ERも徹底的にお受けしています。」
2.地域連携
病院1階の入院窓口横にサポートセンターを開設した。これは患者さん、ご家族、地域住民、開業医からの様々な問い合わせを受ける場所だ。「ここで聞けば、全てが解決する」ことを目指しているという。
サポートセンターの中に、患者相談室、医療福祉相談室、入退院支援室、地域連携室を設け、それぞれの窓口で対応を行っている。
「循環器センターでは循環器地域連携パスによる連携を行っていますが、地域連携に関しては連携先との関係がやはり大事です。急性期のDPC病院でなくても、夜間の医療に重点配分はできませんから、当院で1泊して、次にほかの病院に行ってという連携も始めました。私が病院長になってから、そういった患者さんの数は10倍になりましたね。医療難民を出さないために必死でやっています。それから身体に障害のある子どものご家族のためのレスパイトやご両親が付き添わなくていい入院も受けています。ご両親の支援入院もありますし、虐待予防への取り組みもしています。」
3.今後の展開
センター化をさらに推進します。今年はがん支援センター、総合診療センターが稼働しますし、来年4月には子育て周産期センターを立ち上げる予定です。しかし、いい医療をしたいと思っても、医師がいなければできません。当院では専門医が専門的なことに興味を集中することよりも、主治医として患者さんを全面的に受け入れることを重視しています。患者さんのためにも医師を充足させたいですね。