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良質で高度な医療、信頼と思いやりの医療、地域に広がる医療連携。
地域の中核病院として医療を提供していきます。
病院の特色
市立加西病院は加西市唯一の急性期病院で、住民が安心して生活を送れる拠り所として医療を行っている。医療人を大切に育て、安全で良質な医療を行い、患者さんの信頼を勝ち得て、職員にとっても遣り甲斐のある病院であることをモットーに努力している。
病院の創立理念は「ここは病めるものが心を安らげ、信じ喜べる休息の場である」である。この理念のもとに以下の五つの方針に基づく取り組みを行っている。
- 信頼と思いやりの医療を行います。
- 安全、良質、高度の医療を行います。
- 地域に広がる医療連携を築きます。
- 教育、研修で良き医療人を育てます。
- 健全運営で活力ある病院を築きます。
「加西市内では、当院のみが急性期医療に対応できる総合病院です。したがって、多くの市民の方が当院に健康を預けておられるのだという意識を持って、総合医療を維持してきました。地方の病院ですから、全ての診療科を揃えるのは難しいのですが、できるだけ多くの診療科の医師を招聘して、ニーズに応えるようにしてきました。しかしながら近年、超急性期から急性期医療に対応できる統合病院が近隣にいくつかできました。そちらに特に若手の医師が流れている影響などを受けて、当院の常勤医師数が減ってきています。今後、急性期から回復期医療に対応できる地域多機能型病院としての機能を保っていくためには、手伝っていただける医師が一人でも多く欲しいというのが一番の願いですね。常勤医師は現在37人、臨床研修医10人を含む47人の体制です。非常勤の応援医師は37人いますが、常勤換算すると4.6人となっています。」
1.包括ケア病棟
市立加西病院では2017年度中に包括ケア病棟を増やし、2病棟化する。
「国の施策によって、急性期から包括ケア病棟への転換は全国的に図られています。当院でも2年前に1病棟を包括ケア病棟にしましたが、さらに1病棟を今年度中に転換する予定です。全5病棟のうち、今は急性期4、包括ケア1ですが、急性期3、包括ケア2になります。多くの病院が急性期病棟を維持するのが困難という理由で、仕方なく包括ケア病棟に転換しているのが実情のようですが、当院も2年前は同様の状況でした。どんなふうに利用したらいいか分からないという声もありました。私のように急性期を長くやってきた人間には、『何や、この病棟は』となるわけですね(笑)。
慢性期の病院になるのか、という抵抗感も強かったです。しかし、院内でディスカッションを重ね、利用状況を本来の形に近づけていくと、1病棟では足りなくなってきました。『こういう形にすれば、患者さんには喜ばれるんだな』というふうに、医師の考え方にも変化が出てきましたし、看護師やリハビリのスタッフも『元気に家に帰っていただく』、『自宅で過ごすためのサポートをする』ということに意義を見出しています。高齢の方が増えてきていますので、急性期医療が終わっても、なかなかスムーズに家に帰れない方、リハビリなどで市外に行かないといけない方でも、当院では回復期まで診させていただいて、できるだけご自宅に帰れるような支援をしていきたいと考えています。自宅に帰られても、調子が悪ければ、当院に戻ってきていただくという、地域包括ケアの本来の役割が少しずつ動いてくるようになったと感じています。まだ問題点もありますが、今回はむしろ積極的に包括ケア病棟を2病棟化し、市民の健康維持に役立てるようなモデルを作っていきたいと考えています。」
2.循環器内科
市立加西病院のメインの診療科の一つである。
「急性心筋梗塞や狭心症などの心臓救急疾患は一刻を争う病態に陥りやすく、救急車からの搬送要請はなるべく断らないように努力しています。そのために循環器内科医が常に病院の近くに待機しており、必要であれば、カテーテル担当の看護師、放射線技師、臨床工学技士を集め、カテーテル手術を含めて24時間対応できる体制を整えています。『胸痛ホットライン』というシステムが近隣の救急隊との間で稼働しており、一定の条件を満たした胸痛患者に関しては、救急隊から直接当番医に連絡が入るようになっていて、迅速な対応に結びついています。加西市内やこの近隣の患者さんは遠くの病院に行かなくても、ここで命を救うような対応ができたらと思っています。」
3.消化器内科・消化器外科
「消化器疾患を診断から治療まで一貫して担当するために、外科と消化器内科が同じ病棟を共有して『消化器病センター』として稼働しており、必要に応じて意見交換することで、個々の患者さんにとって適切な診断・治療を選択しています。
消化管出血や急性閉塞性胆管炎などで緊急に内視鏡検査を行って治療を要する場合も多いために、一般内科の当直医だけでは対応困難であり、可能な範囲で当番医を決めて緊急検査・治療ができる体制をとっています。」
外科手術の中では腹腔鏡を用いたものが多く、年間の症例数は100例以上となっている。全体の手術数は300例余りなので、3分の1を腹腔鏡下が占めていることになる。
「腹腔鏡を得意としている医師が、『これも腹腔鏡でできるのか?』と驚くようなものまで行っています。もちろん、適応外の治療をしているわけではありませんが、癒着などの難しいケースに関しても積極的に腹腔鏡でトライしています。腹腔鏡手術は患者さんの術後の回復が早いので、非常に有り難いですね。早期胃癌や大腸癌の内視鏡的切除にも力を入れていますので、当院で発見した胃癌や大腸癌に関しては可能な限り、当院で治療できるような体制を組んでいます。」
4.整形外科
整形外科は近隣からの患者さんが多く、外傷疾患や慢性疾患の割合がほぼ半々となっている。
「当院の歴史は内科、外科、整形外科で設立されたのがスタートですから、整形外科のメンバーも充実しています。
高齢者が多い地域ですので、ちょっとした転倒だけでも骨折というケースが少なくありません。整形外科では内科とタイアップしながら、超高齢で、かつ合併症の多い患者さんにも対応しています。
今までは骨折手術を当院でされた患者さんは、落ち着いたら市外の回復期リハビリテーション病院に行っていただくことが多かったのですが、高齢の方が遠くまで行かれるとなると家族の方も大変になりますので、その面倒も一緒に診ていこうという取り組みを始めています。」
5.眼科
2人の常勤医師と1人の非常勤医師、看護師2人、視能訓練士2人で外来や入院診療を行っている。
白内障、緑内障、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性、網膜静脈閉塞症、角膜炎、ぶどう膜炎などの眼球内部の疾患だけではなく、涙道疾患、まぶたの病気など、眼球周囲の疾患も診療しているのが特徴である。
「眼科に関しても、腕の良い医師が揃っています。白内障はどの病院の眼科でも対応できますが、当院では涙腺の手術などの細かい、特殊な手術も対応可能です。近くの眼科で対応できない患者さんが、遠方からも紹介されてこられることも多いですね。」
6.臨床研修病院
市立加西病院は臨床研修病院の指定を受けている。
「初期研修に関しては定員が6人のところ、毎年5、6人に来ていただいています。 私たちは急性期医療を主体で教え込まれてきましたが、全国的な医療のニーズが回復期医療へと転換しようとしているように、今後の研修医の先生方は様々な医療を学んでいく必要があるでしょう。急性期のみならず、回復期や訪問診療もそうですね。
当院は医師会の訪問診療とも連携していますので、訪問診療に興味のある初期研修医には良い環境です。これからは、さらに幅広く学べる病院になっていくはずです。」