病院の特色
1.総合診療科
信州大学医学部附属病院総合診療科との強い結びつきのもとで、内科初診を主に担当している。
「2013年10月に信州大学医学部附属病院の総合診療科が当院を研修病院として指定してくれたのがきっかけで開設した診療科です。2014年2月に外来診療を開始し、6月頃から入院も診るようになりました。大学から総合診療科の医師が2人来ています。ここで研修の場として診療をしているのですが、形としては内科を診てもらっています。地域に根差した医療をしてくれているので、非常に助かっていますね。信州大学の総合診療科が当院で診療をしていることで、信州大学の初期研修医の総合医療の研修は当院で行っています。学生の実習も当院で行っていますので、若い人が来るようになったことが病院にとってプラスになりました。」
2.外科
「総合外科」の観点から、消化器全般のみならず、乳がんやそのほかの一般外科領域についても幅広く診療している。がんに関しては手術のほか、抗がん剤治療や緩和治療も積極的に行う。腹腔鏡下手術に取り組んでおり、胆嚢摘出術、虫垂切除、鼠径ヘルニアのTAPP法、大腸がんや胃がんの手術など、適応を考慮して行っている。
「現在、消化器内科医が不在なので、他院だと消化器内科がカバーする疾患も外科で担当することが多いです。3年ほど前まで3人でやっていたのが、1人が異動になり、現在は2人です。1人は女性です。2人でやっているのですが、その2人は2人分以上の仕事をしています。いわゆる予定手術は次々に行っていますし、緊急手術も断らずに積極的にやってくれていますね。2人だけだと大変なはずですが、かなりレベルの高い診療です。本当はもう1人いると楽になると思っています。」
3.脳神経外科
冬の寒さが厳しい地域ゆえに、脳卒中の患者さんが多く、救急隊からホットラインで情報を受け、速やかな対応を行っている。そのほか、頭部外傷、痙攣、一酸化炭素中毒などの急な意識障害、心肺蘇生後の低酸素脳症などの初期治療も多い。
また、睡眠時無呼吸症候群の診断治療にも取り組み、口腔外科と連携して、マウスピース、CPAP療法も行う。一方、認知症の診断や治療は認知症認定看護師と連携して、チームでサポートする体制を取っている。
「当院のような地方の病院で脳神経外科というと、実はどの病院もそんなに仕事がないんです。当院は1人体制で、そこまで手術があるわけではありません。脳神経外科は頭の中を手術する科ですから、『手術しかやらないよ』という医師が多い中で、当院の医師は睡眠時無呼吸症候群や認知症の診断までかなり柔軟に行っています。当院の特徴として、救急隊とホットラインを持っており、頭部の病変があれば、救急隊から直接、医師に連絡が入り、対応していることが挙げられます。手術室はありますので、医師を複数体制にして手術症例数を増やしていきたいと考えています。」
4.産婦人科
大町地域で唯一の周産期医療施設である。また、子宮筋腫や卵巣嚢腫などの婦人科疾患の治療にも取り組んでいる。
「産婦人科は3年前に分娩を一時休止し、大北医療圏で分娩できる医療施設がなくなってしまいました。県にお願いをするなど、7カ月後に複数の医師の体制ができて、ようやく分娩を再開したのですが、2017年秋に2人体制が1人になってしまいました。また分娩を休止するのか、非常に迷いましたが、残った1人の医師がなんと『一人でやります』と言ってくれたので、継続できたんです。2018年1月にもう1人の医師が着任したので、今は複数体制で分娩の診療ができるようになっています。分娩件数は年間約100件です。大北医療圏で唯一の周産期施設ですので、何とか存続したいと思っています。」
5.泌尿器科
井上院長が牽引してきた診療科である。膀胱がん、前立腺がんなどのがんに対する治療、尿路結石に対する体外衝撃波砕石術や経尿道的尿路結石除去術、尿路性器感染症の治療、および排尿障害の治療が主な疾患であり、腎がんは適応を考慮し、腹腔鏡下手術にも取り組んでいる。また、信州大学医学部の臨床実習の学生の受け入れも行っている。
「尿の悪性腫瘍を積極的にやっています。それ以外にも結石の治療、ESWLという機械や、TLといって内視鏡的に医師を砕くような手術も多いです。最近の特筆すべきこととしては産婦人科と協力して骨盤臓器脱の手術を行っていることが挙げられます。」
6.整形外科
四肢の関節・骨・腱・筋・末梢神経疾患や外傷の診療が主で、脊椎・脊髄疾患は近隣病院の整形外科と連携して診療を行なっている。外傷やスポーツ障害のみならず中高年の関節痛などは理学療法などの保存的治療を中心に行っている。
「地域的に高齢者が非常に多いということと、スキー外傷など、ウインタースポーツでの外傷の患者さんが多いのが特徴です。」