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遠野方式在宅ケアシステム

運営・経営方針

1.運営・経営方針

 岩手県立遠野病院では「経営改善と効率的事業改善の推進」として、経営分析による事業経営の構築、診療報酬の適正算定、薬品、診療材料の廉価購入及び不良在庫の防止、業務の効率化の推進、委託検査の積極的推進を挙げている。

 「経営分析は県立病院全体としても、病院独自の視点でも細かく行っています。薬品は積極的に後発医薬品を投入し、県立病院全体でもできるだけ診療材料や薬品は統一して廉価購入を行っています。今まで100%院内処方だったのを院外処方にし、できるだけ在庫を減らしています。以前は病院ごとに半々くらいで独自購入を行っていましたが、今はほぼ独自購入はなくなり、スケールメリットを活かした購入を行っています。業務の効率化については無駄な業務を減らさないと次々に溜まっていくので、常に見直しを行っています。委託検査の推進については以前から行われており、今は決まってしまっていますね。」
 

2.地域連携

 岩手県立遠野病院では「地域支援への積極的推進」として、訪問診療(看護)の継続、在宅ケアへの支援、健康講座への支援、地域イベントへの参加、ボランティア活動の推進を挙げている。

 「健康講座というほどではありませんが、最近、病院の情報などを発信しています。11の各地区を回り、地域のコミュニティーセンターのようなところで、夕方から夜にかけて地域の方々と懇談会と説明会を兼ねるような集まり、いわゆる出前講座を始めました。院内医療のトピックになっているような話をしたり、医師が行った際には医師の専門の話やロコモティブシンドロームといった話をしていますね。地域イベントへの参加としては遠野まつりにお祭り同好会が神輿を出して参加しています。病院の元気な姿を地域にアピール必要もあると思い、頑張って参加しています。ボランティア活動の推進についてはこれから募集をかけようとしているところです。個人で花壇整理などをやってくれているボランティアOBの方はいらっしゃいますが、受付の案内など、これからお声がけをしていきます。」

 地域医療との連携についても、伺った。

 「医師会との連携やシステム構築、体制の作り直しを図っています。今、紹介率、逆紹介率がかなり低いんです。地域の開業医の先生方が医科で10軒ぐらいしかないこともあり、紹介率が10%を切っています。あまりにも低いので、紹介、逆紹介の流れを再構築しようとしています。患者さんも紹介状を持って病院に来るというイメージがないようですから、かかりつけの先生から紹介状をもらって受診という流れを医師会と共同しながら作っていきたいです。そして、現在は口腔ケアが大きなトピックスになっているので、歯科医師会との連携も進めたいです。歯科医師会の先生方に病院まで来ていただき、入院患者さんたちに歯科の診療、歯科回診をしていただきたいと考えています。」
 

3.今後の展開

 今後の病院の立ち位置をどうしていったらよいか、私もイメージできていないのが現状です。建物が老朽化しているので、新築も頭に入れつつ、地域でどういう病院になるのかを考えていきます。専門に特化するわけにはいかないので、何でもジェネラルに診ることができ、プライマリケアにかなり重点を置く病院を目指しています。救急や急性期もある程度は診なくてはいけないということと、在宅医療、老人保健施設などの施設との関わりも作っていかなくてはなりませんから、守備範囲は広くなっていくでしょう。病院に一番求められるのは救急です。ここから近くの病院まで1時間以上かかりますので、ほかのことが多少は手薄になっても、救急の患者さんだけは受けないといけません。釜石や北上に行くにしても、救急の全ての患者さんが遠野病院を経ず、ほかの地域の病院に行ってしまうと、行った先の病院が破綻してしまいますので、ある程度の救急は遠野病院で一旦診て、専門治療が必要な患者は大きな病院に搬送するという形になりますね。一次と二次の間のような病院を維持していく感じです。救急の一方で、レスパイトや在宅で少し悪くなった方が入れる病床も必要ですので、今年度中に何床か地域包括ケア病床を入れます。全てを網羅しないといけない病院ですから、難しいですね。二次や三次ではなく、二次までの医療を在宅も含めて行うような病院、それが遠野病院なのだと思っています。

2018.10.01 掲載 (C)LinkStaff

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