医者の給料なんてこんなもの!?(上)
2004年09月01日 コンサルタントI
T先生は地方の国立大学出身。卒後は入局することなく大阪の民間病院に入職、今年で13年目を迎える30代後半の外科医である。現在は200床の急性期病院に勤務されているが、慢性的なドクターの不足から勤務は極めて過酷で、今年に入ってから完全なオフは1日もないという。
今回、転職を決意されたきっかけとなったのは「マイホームの購入」。マイホームを購入するにあたって、銀行でローン審査の手続きをしたときのこと。担当者は書類を見るなり、「ご年収はこれで全てですか?」と一言。だが、T先生の顔が一瞬曇ったのを見てとったのだろう、慌てて「あ、いえ、Tさんの場合、ご融資自体は何も問題ありませんが、他にアルバイトなどはされていないのでしょうか」と、言葉を濁した。だが、その慌てぶりは「この年齢の医者にしては年収が低すぎやしないか」とでもいわんばかりだったという。ちなみに、このときに書かれた金額は税込1200万であった。
もっとも世間の相場を知らないT先生は、控えめに「医者なんてこんなものだろう…」と考えておられたようだ。しかし、銀行員から面と向かって「(世間相場から考えて)年収が少なすぎるのでは」と言われたのは、さすがにショックだったようである。それでもT先生は控えめだった。「たしかにうちの病院はハードですが、どこの病院も同じようなものなのでは?」と、少しすがるように尋ねられた。そこで私は失礼と思いながらも、13年目の外科医にしてはたしかに低いし、ご勤務されている病院については「給与が勤務内容に見合っておらず、あそこだけには行きたくない」と、先生の間でささやかれていることを伝えた。すると、おそらく銀行でも見せたであろう表情が、T先生の顔を覆ったのである。