ドクター転職ショートストーリー

家族の元へ(上)

2012年1月15日 コンサルタントK

A先生との出会いは2010年12月中旬、年の瀬も迫る師走のことだった。

A先生は、数年前から登録頂いている先生方の一人で、直接話をした事はなかったが、数ヶ月前にメールで何度かやり取りをした事があった。その時、転職については考えていないとの事だったが、今回A先生から「何か良い求人はありますか?」と問い合わせが入り、ご希望を伺ったところ「特に条件と言う程の事ではありませんが、実は家族の元に帰りたいと思っています。数年前から単身赴任をしていますので、休みの日を利用して、家族の元へ帰省している状況です」とのことだった。

A先生は、急性期B病院で勤務される50歳代半ばの呼吸器内科医。その地域は医師不足が深刻で、B病院も常勤非常勤問わず、医師募集をされている状況だった。電話の様子からA先生は身体にかなりの負担がかかっているようだったが、話をする内、転職に対して一歩踏み出せずどこか迷われている印象を受けた。

そして年明けに、A先生から「C市で、僕みたいな年齢の医師を受け入れてくれる病院はありますか?」と連絡が入った。現在ご勤務されているB病院の院長と副院長はA先生の昔の同僚で、大変良くして貰っている為、特に不満が有るわけではないとの事だった。しかし「年末自宅に帰り、より一層家族と過ごしたいという気持ちが強くなりました。ですが、医師が足りない為、辞めようにも辞められない」とのことだった。今の勤務先への思いと、家族と一緒に過ごしたい思いがA先生の中で葛藤していると確信できた。

C市の状況は、年度末に向けて各医療機関とも医局人事の予定や、新年度から入職される先生の話があり、動きが活発である事を伝え、参考までに案件をお送りする事を約束し電話を切った。

A先生は、以前家族と過ごしたC市で共にゆっくり暮らす事が出来るのであれば、年俸が下がっても構わないが、体力的な事も考え、週4~5日で、できれば当直やオンコールも無しの勤務をご希望されていた。

私は、A先生の条件で相談が可能か、いくつかの医療機関へ確認を急いだ。しかし、C市内にある病院は、当直あり、オンコール対応必須など、なかなか先生のご希望に沿う案件が見つからず、再度受け入れ可能な病院を調べ直すことにした。A先生の専門を活かす事ができ、且つご希望に添える医療機関を探している内に、C市の隣の市にあるD病院が一つの候補にあがった。D病院は、その地域の急性期を担っており、またC市からも離れておらず、通勤にとても便利な場所にあった。
早速、A先生へ内容を伝えたが、あまり良い反応ではなかった。

D病院では呼吸器内科の専門性を活かすことができ、当直やオンコールは年齢制限を設けてある為、A先生の希望全てが整っているとお話させて頂いたが、A先生は悩まれている様子だった。D病院は現在の勤務先B病院と比べても非常に忙しく、体力的に持たないのではないか、また実際退職の件は勤務先に話もしていない上に、現在医師が足りない為、そう簡単にはいかないとのことだった。

その日は結論が出ず、後日改めて連絡する事を約束し、一旦検討して頂く事にした。

次へ続く

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