ドクター転職ショートストーリー

限界への挑戦(上)

2013年11月15日 コンサルタントS

医師不足が社会的に認識されて久しいですが、地域の偏在や科目の偏在、医学部の新設、医学部の定員増など、様々な問題や対策が議論されております。今回のA先生も医師不足の世の中を嘆き、志を持って日々ご勤務されている先生のお一人です。

今年の8月中旬の夜に、常勤担当宛ての1本のお電話がありました。「私は医師ではなく、私の父の相談をしたいのですが、宜しいでしょうか?」「父は医者なのですが、先日仕事を辞めて自宅に帰って来ました。仕事先を紹介してもらうことは出来るのでしょうか?」

通常、ご勤務の忙しい先生に代わり、奥様を窓口とされて、お問い合わせやご相談を頂く先生方は、少なからずいらっしゃいます。ご勤務先をお辞めになっているにも拘らず、先生ご自身からではなく息子さんからのお電話に、何か特別な事情があると思いお話を伺いました。「実は、父は高齢で仕事先を探すのは難しいと思っているのですが、リンクスタッフの求人サイトで高齢な医師募集の特集を見てお電話しました」とのお話です。お話を伺い【老健施設長特集】の事だと気付き、「老健施設でご勤務されている先生方の多くは、病院勤務の定年退職後にご勤務されています。70代でもご活躍されている先生方も多く、定年制を導入していない先も多いので、先生のご健康状態次第で可能性はあると思います」と答え、先生のご年齢を伺いました。先生のご年齢は、80代で候補先があれば直ぐにでも働ける状況との事です。「可能性が少しでもあるなら父に説明して、後日、本人からお電話します」との息子さんからのお返事に、先生のお名前を伺うも教えて頂けず、勿論連絡先も分からない状態でしたが、自分の携帯番号だけはお伝えしました。

その後、お電話も頂けないまま月が替わった9月3日に、携帯電話へ「先日息子が電話した者です」とのお電話を頂きました。A先生のご年齢を伺うと84歳でしたが、会話もスムーズに出来、早速、翌日の4日にA先生のご自宅最寄り駅での、ご面談のお約束を頂きました。

A先生とご面談させて頂くと、驚くことに1ヶ月前までの10年近くを単身、東北地方にある病院で内科医としてご勤務されていた先生でした。しかし、自身の高齢と高血圧から、病院内とご家族からの願いがあり、病院を退職してご自宅のある関東へ戻って来られておりました。

A先生のご希望は、『医師として直ぐに働ける先、関東地方であれば場所を問わない』との内容でした。ご家族のご心配や先生のご年齢を踏まえて、失礼を承知で『何故そうまでして働かれるのか』を伺いました。A先生は、元々、東北地方の山村のご出身で、当時は村に医師がおらず、無医村の苦労を経験し医師となられた先生でした。A先生の本当のご希望は、『自分が医師として必要とされ、働ける限りは、一生働きたい』との熱い思いにありました。私は先生に少しお待ち頂き、熱い思いに応えるべく、その場で1本の電話を掛けました。

次へ続く

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