ドクター転職ショートストーリー

本心を把握する事の難しさ(上)

2016年5月15日 コンサルタントK

2月初旬のある日、T社という企業から入った電話が始まりでした。
企業からの電話でしたので、最初は継承・開業についての問い合わせかと思っておりましたが、話を聞くとT社が長年御付き合いしているW先生という方が4月からの常勤先を探しているので協力してもらえないかということでした。

T社というのは、採血管準備装置、検体検査装置を開発・製造・販売している上場企業でした。ご担当のY氏がネットで紹介会社を調べたところ、弊社が業界で老舗のようだったので連絡したとのことでした。

御紹介いただいたW先生は、70代半ば、血液内科を専門として医療センター長や大学教授等を歴任されてきた輝かしい経歴をお持ちの先生とのことでした。

今後、T社のY氏が窓口となってW先生との間に入りますということで特異な形でのやりとりが始まりました。兎にも角にもW先生と面談して本人の考え、希望をお聞きする一方、どのような先生か確認する必要がありましたので、まずは面談設定の調整をお願いしました。

1週間後、W先生との面談に臨みました。場所はT社会議室、窓口のY氏も同席しました。
W先生は顧問として急性期病院に週5日勤務されておりましたが、顧問とは名ばかりで色々と業務を依頼されており、なかなか落ち着いた時間が取れないということで、自宅近くでゆったり勤務できるところを探してほしいとのことでした。

W先生の印象ですが、今までずっと要職に付かれてきたためか話し方がやや命令口調になっている点が気になりましたが、その他は年相応で特に問題は感じられませんでした。
W先生が席をはずしている時にY氏に色々お聞きしましたが、前々から話し方はどうしてもああいう感じになってしまっているが、悪気はなく、すぐに言いたいことや特徴は掴めると思います。とのことでした。

こうしてW先生との初対面を終え、ご希望に沿った案件探しに移りました。
3日間時間をいただき求人案件を探した結果、W先生のご自宅から30分圏内の2つの医療機関をピックアップしました。1つは老健の施設長、もう1つは療養病院での病棟管理という職種でした。早速W先生に連絡を入れ、求人内容を確認していただきました。(見つかり次第急いで知らせてほしいとのことで、ここからはW先生に直接連絡を入れるようになりました。)
W先生からは両方とも話を聞かせてほしいとのことでしたので、早速2つの医療機関と調整し面接・見学日程を組みました。

1週間後、まずは療養病院との面接に臨みました。病院からは院長先生、事務長が出席され、業務内容の説明等、ひと通りの質疑応答をしました。

その中でカルテについての話にやや長い時間が費やされました。この病院は紙カルテを使用しておりましたが、W先生は大学勤務が大半であったため、紙カルテは昔扱った程度で電子カルテに慣れていたということもあり、「何で電子カルテではないのか。」と院長先生に問いかけておりました。
また、面接後の病院見学では所々で質問をされ、それに対する事務長の回答に「そういうことを聞いているのではない。」と、例の命令口調で話されたりする場面もあり、私としてはヒヤヒヤし通しでした。

帰りにご一緒した際に病院の印象をお尋ねしたところ、「何とも言えないな。もう1つの所を見てから決める。」とのことでしたので、あまり気に入らなかったのかなという印象を持ちました。

翌日、病院に御礼とともに面接結果をお聞きしたところ、「是非W先生には来ていただきたいと思います。」との返事をいただきました。私は正直なところ今回はダメなのではないかと不安でしたので、ひとまずホッとし、W先生に連絡を入れました。W先生は特に反応を示すわけでもなく、先日と同じく「もう1つの所の話を聞いてから決める。」と素っ気ない返事でした。

次へ続く

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