北九州市立医療センターの特色
北九州市立医療センターは市立病院群の基幹病院として、がん診療、周産期母子医療を行うなど、高度で専門的な医療を提供するとともに、市内で唯一の感染症病床を有している。
1.地域がん診療連携拠点病院
医療センターは、2002年8月に地域がん診療拠点病院(現 地域がん診療連携拠点病院)として指定された。我が国に多い5大がん(肺がん、胃がん、肝がん、大腸がん、乳がん)について、緩和医療の提供や地域の医療機関との緊密な連携と協力により、全人的な質の高いがん医療を継続的に提供している。
「院内がん登録システムを整備し、我が国に多いがんについての専門的な医療体制を有しています。地域の医療機関からの診療に関する相談にも積極的に応じているほか、研究体制も整備しています。」
2.総合周産期母子医療センター
2001年に市立病院としては全国で初めて、福岡県から総合周産期母子医療センターの指定を受けた。妊娠、分娩、新生児を取り扱う診療所や病院と連携して、ハイリスク妊娠やハイリスク新生児の診断・加療について中心的な役割を担い、胎児要因や母体要因による母体搬送の受け入れ、緊急分娩や異常分娩への新生児科医の立ち会い、そして異常新生児の受け入れを24時間体制で行っている。
また、2003年からドクターカーの運用を開始しており、新生児搬送と母体搬送に利用されている。
「母性胎児部門、新生児内科部門及び新生児外科部門の専門医やスタッフが連携を取り合い、24時間体制で出生前から出産後まで母児への集中治療を行っています。」
北九州市立八幡病院の特色
八幡病院では一般の診療に加え、併設の救命救急センター、第2夜間・休日急患センター及び小児救急センターにより、一次から三次までの救急医療を提供しており、北九州市の救急医療、小児医療の拠点として、市民の安全、安心の支えとなっている。
1.救命救急センター
北九州市及び近郊120万人を対象にした三次救急医療体制の中核施設である。多発外傷、心大血管疾患、脳神経疾患、呼吸器・消化器疾患、急性中毒などの重症患者を365日24時間体制で受け入れている。
災害拠点病院でもあり、北九州市災害医療救護計画に基づく医療コマンダー施設でもあるため、北九州市立八幡病院のDMAT(Disaster Medical Assistance Team)を中心に災害活動にも積極的に参加している。敷地内に設置されている北九州市消防局の救急ワークステーションと連携して、救急隊員の病院実習をはじめ、救急救命士のスキル向上のための救急車医師同乗実習を含めた教育・実習プログラムを実施している。
「私どもの救命救急センターでは、重症患者の救命医療、災害時医療救護活動、救急救命士研修を3つの柱として地域に貢献しています。」
2.第2夜間・休日急患センター
北九州市の一次救急施設として、検査、処置に対応できる施設である。北九州市立八幡病院救急救命センターが隣接しているため、緊急な対応も可能となっている。
「一次救急対応施設ではありますが、入院が必要となるケースもありますので、地域の協力病院や北九州市立八幡病院救命救急センターなどと連絡を取り合い、入院もできるようにしています。」
2003年には、小児の救急医療に対応するために、小児救急センターが開設された。
「第2夜間休日急患センター開設から12年、夜間、休日のみならず、ゴールデンウィークから年末年始まで、北九州市や近郊の住民の皆様の時間外診療を担い、急患センターの役割を全うしています。」
3.小児救急センター
内科系危急疾患はもちろんであるが、事故外傷など境界危急疾患も小児科医が初療から関わり、トリアージや治療戦略に加担して、総合的な視野で子どもに対応している。母子関係、親子関係を重視して、子どものみならず家族で闘病できるような支援体制を常に心がけ、全人的医療の実践を目標として、チーム医療に徹している。
小児救急医療の本質が軽症疾患を軽んぜず、重症化させないことであることを第一義に考え、小児救急センターでは100人の軽症者に紛れた1人の重症者を見逃さず、適切かつ迅速な対応を行うことを心がけ、開かれた小児救急医療を行い、真の健全育成の一助となることを目標にしている。
「地域の子どもたちのため、療養に関連する関係諸機関との連携を図りながら、育児支援の大きな柱になるように努めています。」