企業長メッセージ
◆今後の展開
現在、公立、私立問わず、どこの病院でも、経費における人件費のウェイトが高くなってきていますが、公立病院はお金を出すという点では弱いために、後手になりやすい状況にあります。独立行政法人になる病院もありますが、公立八女総合病院は「地方公務員としてやっていこう」、「基本理念に掲げた病院であろう」と考えています。
昨年の水害は地域によっては大きな爪痕を残し、復旧が終わったとは言えません。私たちは公務員的な考え方を持ち、地域のことを考えて行動しなければいけませんし、地域を守っていくためにも、そして、がんの拠点病院として特化してやっていくためにも、呼吸器科、麻酔科の人員が必要です。
現在、研修医も毎年2、3人が入ってはいますが、先々のことや現状の不足などを考え、将来的には市にお願いする形で医師確保したいですね。このところ、臨床研修だけでなく、大学在学時から地域医療を学びたいという動きが出始めています。水害時には九州大学の6年生が来ていましたよ。地域に残ってくれる人がどれくらいいるか分かりませんが、熊本大学、佐賀大学、九州大学、久留米大学をあたっています。最近は大学に残る研修医が減ってきていますし、人気のある科と人気のない科に分かれ、専門医の数にばらつきも出てきていますね。
私どもでは、この八女という地で完結したいのです。これまでは山奥の学校の健診などには行けませんでしたが、これからは公的病院の役割としてやっていきたいです。公的病院である限り、地域医療は必須です。急性期病院とは相反しますが、地元の方々のためにも、地元で完結したいですね。八女、筑後地区には13の病院があります。高齢化率は高いのですが、絶対数はそこまで多くないので、完結できるのではないかと考えています。
普通のビジネスではお客様の声を聞くという体制があるのに、医療にはありません。それが不思議でしたので、今後は関連病院だけでなく、住民の話を聞いたり、住民と話をする病院でありたいですね。そこで、平野部はもとより、僻地である山間部の方々に、どういう病院になってほしいのかというヒアリングを行う予定です。診療所は二つありますが、山間部の方々が病気になったとき、私どもまで来るのに1時間半はかかります。不整脈などの心臓の病気、呼吸器の病気、頭の病気、消化管出血などとなると、何分、何十分という中で半分の方が亡くなってしまうことなどの話をする必要があります。本当に困ったときにどうするのか、私どもはここまでできる、ここまでしかできないという話をしておかないと、地域の方には全く分からないでしょう。救急をやりたくても、山間部は無理がありますので、一次救急や災害時には住民の皆さんの自助努力が大事だという話をしたいですね。
◆メッセージ
地域で完結できるような病院をつくり、地域住民のため、皆さまのために、自分たちがプライドを持って仕事ができるような取り組みを行いたいです。私は信念を持って仕事をしていますし、それだけは大切に続けていきたいと思っています。私たち公務員は皆のために何かしてさしあげたいという気持ちはあるのですが、それをうまく、皆に伝えていく努力が必要です。病院の掲げている理念に則って、これからも質の高い医療を行っていくつもりです。