病院の特色
1. 内科
広島市立広島市民病院の内科は臓器別に細分化されていないことが特徴である。
「もともと循環器と呼吸器は分かれていましたが、そのほかについては一括内科にしていたのです。今年から血液内科が分かれましたが、消化器内科も腎臓内科も糖尿病内科などは同じ内科です。当院ぐらいの規模の病院で細分化されていないのは珍しいですね。今の患者さんは高齢者が多く、合併症があって病気が併存していますので、細分化され過ぎていますと、どの科が主治医になるかで揉めてしまう恐れがあります。救急患者さんを一生懸命、診るようになりますと、内科系の患者さんが増えるのですが、そういった患者さんの受け皿がERなのです。救急部が入院させて、内科が診るというのが当院の特徴ですね。専門性の高い医療もやるし、総合的な医療もやろうという考え方です。救急患者さんが入ってきたら、必ず診断をつけて治療の方針を決めますので、診断がつかなくて病気が放置されることはありません。研修医にとっても、勉強になります。幅広い患者さんから珍しい症例も経験できるし、高度な研修から総合的な研修ができます。その分、医師や看護師に負担はかかりますが、ともに成長していくためにはマンパワーが必要ですので、優秀な医師を募集したいです。」
荒木病院長は肝臓、肝疾患が専門である。「当初から肝臓がんの治療を専門にしてきたんです。1988年頃は肝がんに対するエタノール注入療法と言って、がんに針を刺して超音波を見ながらアルコールの一種であるエタノールを注入し、がん細胞を壊死させる治療法が全国的にやり始められた時期で、当院にも導入しました。その後、針を刺して、がんを治療する療法は少し進歩して、エタノール注入療法がマイクロ波になり、またラジオ波になりました。肝がんの特殊療法ですが、いわゆる手術ではなく、肝臓がんを治療する方法が進歩していくので、それに付随して新しい治療法をずっと行ってきました。内科的な治療を受けるためには早い段階でがんを見つけることが必要です。そのため、超音波に興味を持ち、勉強してきました。」
2. 呼吸器内科
「肺がんの治療がメインになっています。急患で肺炎の方も多く入ってきますが、肺がんについては当院のような病院でないと治療ができませんので、肺がんの治療をメインに頑張ってもらっています。肺がんの化学療法、放射線治療を受けられる方と呼吸器疾患の急性期の方が主な対象です。肺がんの化学療法に関しては入院期間の短縮、外来化学療法の推進を図り、限られた入院病床を効率よく利用していただいていますので、平均入院期間は約17日となっています。」
3. 循環器内科
「エコノミー症候群として知られる肺塞栓症や肥大型閉塞性心筋症とたこつぼ型心筋症に対する診断と治療は日本の指導的立場にありますし、多くの学会発表を行っている診療科です。救命センターがあるので、循環器内科はかなり頑張っています。いわゆる心筋梗塞を中心としたカテーテル治療を中心に、不整脈に対するアブレーション治療に力を入れています。いわゆる心筋梗塞狭心症のカテーテル治療と不整脈に対するアブレーションがニ本柱です。」
4. 外科
外科は臓器別に専門医が揃っている。
「消化器外科で言えば、食道がんは食道がんチーム、胃がんは胃がんチーム、肝胆膵は肝胆膵チーム、大腸は大腸チームがいます。皆が非常に協力し合って治療しているので、胃がん治療は非常に症例数が多くて、全国のランキングにも載っています。また、呼吸器外科の肺がん治療についてはもともと強く、全国ランキングに出ていますし、乳腺外科の乳がんも全国で一桁ぐらいの症例数を持っているので、もともと強かったがんの治療ではありますが、最近はさらに強くなっています。救命センターからもかなりの患者さんが入ってきますので、がん以外の手術も数多く経験できます。」
5. 脳神経外科
「複数の専門医が在籍していることが強みです。予防医学の成果も確実に向上していますね。広島県立病院は外傷が強いのですが、当院は心臓と脳が強いです。脳神経外科は三次救急としての脳神経外科の位置づけが強いですね。脳卒中の治療に非常に力が入っていますし、動脈瘤のカテーテル治療についても専門家がいて、日本で有数の件数を持っています。」
6. 心臓血管外科
「前任の院長の専門が心臓血管外科でしたので、もともと心臓血管外科が非常に強く、子どもの先天性心疾患、大人の狭心症や心筋梗塞の手術のほか、大動脈瘤にも専門家がいて、幅広く診ていることが特徴です。子どもから大人まで幅広く診られる心臓血管外科を持つ病院はなかなかないですね。現在は大動脈のステント治療が非常に広がっていますので、当院でもさらに充実させるためにハイブリット手術室を作ります。手術室の中で血管造影の透視などができるような手術室で、来年度末に完成予定です。」
7. 産科・婦人科
「広島県には二つの総合周産期母子医療センターがあって、一つは広島県立病院、もう一つが当院です。当院は異常分娩の患者さんを受けて、生まれてくるのが未熟児であるケースが多いですね。広島県のシェアでは新生児・未熟児が50%になっています。」