運営・経営方針
1. 運営・経営方針
医療法人藤仁会では関連施設が増えてきたことに伴い、2009年に法人本部を立ち上げ、方針の一本化を図っている。本部主導のもとで、月に1回の経営会議や法人連携会議など、実務者が集まる場を設けている。
「これまでは各施設長がばらばらに運営してきた面があったのですが、法人本部に新しい事務長を招聘し、運営を安定させました。物品の購入を購買部で一括管理するようになり、スケールメリットが出てきましたので、無駄がなくなりましたね。」
法人内の書式を統一することで、情報共有も円滑になった。
「病院と老健、訪問看護ステーションで異なる書式を使っていたのです。医療界にいた相談員と介護や福祉の世界にいた相談員では考え方も違いますし、書式を統一することと相談員同士で顔を合わせることを始めて、連携がうまくいくようになりました。」
一方、藤村病院は「介護・健康ふれあい相談会」や「健康フェア」を開催するなど、地域密着の姿勢を強く打ち出している。
「私どもには地域をまとめていくという役割があります。そのためには病院の中だけでなく、私どもも地域に出向いていかなくてはいけません。介護・健康ふれあい相談会は私どもの前にある丸広百貨店と共同で開催し、夏バテや熱中症、メタボリックシンドロームなどの予防や日常で困っていることなどの相談をお受けしています。健康フェアの第一回は西上尾第一団地で行いました。『あなたの血管年齢は、何歳ですか?』を演題にし、私どもの健康管理センターA-geo・townクリニックの医師や保健師、看護師が講演したり、参加者の血管年齢や血圧を測定しました。今後も住民の皆さんとの関係を深めていきたいですね。」
2. 医療連携
地域医療連携室を強化しているが、現在はさほど紹介率は高くない。古くからある病院ゆえに、地域の開業医から電話のみで紹介が行われることが多く、紹介状による算定率に組み込まれないからである。
「電話での紹介も大事なことですし、それで紹介率が上昇しないのは仕方がないと思っています。しかし、私どもは在宅支援病院ですので、地域の開業医の先生方とは月に1回の懇談会を開いています。」
藤村理事長は上尾市医師会の理事を務めており、このほど「若手会」を立ち上げた。
「若手会は以前もあったそうなのですが、10年ぐらいブランクが空いていたのです。上尾中央総合病院の中村康彦理事長とは全日病でお会いしますが、お忙しい方ですので、私が上尾市の若手の医師と中村理事長の間を繋ぐ役割を果たしていければと思っています。若手会では勉強会や食事会を年に数回、行っています。勉強会は症例発表や自分の得意な分野についての発表、病医院の宣伝など、様々な内容で楽しいですね。」
藤村理事長は上尾市の介護認定審査委員も務めている。
「上尾市が上尾市医師会に委嘱した事業なのですが、介護認定の基準の改正に取り組んでいます。ばらばらの基準ではいけませんので、ある程度の水準に移行させていますが、上尾市はうまくいっている方ですね。認定調査票が家庭での現状をきちんと反映したものになるように、ご家族を巻き込んだ形でチェックシートを作成したところです。」
3. 今後の展開
今、行っていることを確固たるものにしていくことが課題です。国の考え方は超急性期、急性期、亜急性期という流れにありますが、私どもは患者さんが困らないような順番をうまく確立できたので、急性期から療養までを一貫して行えています。医師がいくら診てあげたくても、場所がなければいけませんから、施設の整備や地域の開業医の先生方のコミュニケーションを良好にして、患者さんやご家族が困らない状態を作っていきたいです。
骨折で手術したとしても、超急性期病院は患者さんを退院させてしまいますので、保存的に診るための入院は不可能です。しかも、一人暮らしの場合は退院後の生活に無理がありますから、そういった方を私どもでコーディネートしてさしあげたいですね。地域のケアマネージャーも頑張っておられますが、医師でないと指示が出せないケースもありますし、困った方々のサポートが私どもの役割だと認識しています。