病院の特色
病院の特色については、別役病院長にお話を伺った。
1. 内科
一般内科を中心に、呼吸器科、消化器科、神経内科などの疾患を扱う。
「外科出身の医師も在籍しており、地域の患者さんの疾患を何でも診るといった体制です。入院の患者さんは肺炎や心不全の方が多いですね。外来は喘息の発作、慢性閉塞性肺疾患に加え、高血圧症、高脂血症、糖尿病といったメタボリック系の患者さんが中心です。外来患者さんの数は1日に140人程度でしょうか。忙しいときもありますね。」
禁煙・睡眠障害外来も行い、特に睡眠時無呼吸症候群に関しては別役病院長、高崎雄司医師を中心に、5人の医師が担当している。
「高崎医師は呼吸器内科医ですが、睡眠時無呼吸症候群専門の検査施設を作りたいということで、京王八王子駅前に附属クリニックを開設したのです。」
別役病院長の専門も睡眠時無呼吸症候群であり、10年以上も前から取り組んでいる。
「2003年2月26日に山陽新幹線の運転手が居眠り運転を起こしました。この運転士は前日に8時間以上の睡眠を取っていたにも関わらず、運転中に約8分間の居眠りをし、停止ラインの100m手前で列車が停車してしまいました。この運転士は重症の睡眠時無呼吸症候群であることが分かり、この疾患が大きくクローズアップされたのです。医療関係者の間では『平成の2・26事件』として知られています。八王子市内では睡眠時無呼吸症候群を扱っている医療機関はなく、当院は先駆けでしたね。私もご縁があって、当院に勤務することになったのです。」
専門外来としては、東海大学医学部付属八王子病院精神科の協力を得て、物忘れ外来も行っている。これは認知症対象の外来で、社会のニーズに応えたものだ。
また、堀医師、草間医師を中心に、15年以上前から糖尿病外来にも取り組んでいる。堀医師は日本糖尿病学会の専門医である。血管障害や合併症のある患者さんも多い。
「64列のCTを完備していますので、外来で冠動脈のチェックができるのが特徴です。メタボリック系の検査は得意ですね。また、MRIもありますので、外部からの画像診断のニーズもあります。放射線科医のコメントを付け、オーダーがあればiPADで確認できるようになっています。」
さらに、玉谷理事長は潜水医学にも精通していることから、ダイバーの検診なども行っている。
「当院はDAN JAPANに加盟しています。DANとはDivers Alert Networkの略で、日本海洋レジャー安全・振興協会が行うレジャー、スキューバ、ダイビング事故者に対する緊急医療援助システムです。潜水病などにかかった場合には潜水医学に精通した医師と再圧タンクなどの治療施設が必要です。最近は加盟病院も増えましたが、当院はパイオニアとして、ダイビング事故の予防と安全性の向上に努めています。」
2. 循環器科
虚血性心疾患、不整脈の患者さんが多く、アブレーションやインターベンションの症例が豊富である。東海大学医学部付属八王子病院、東京医科大学八王子医療センター、みなみ野ハートクリニックなどの医療施設と連携を行っているほか、慶應義塾大学病院心臓血管外科との連携も盛んだ。
「当院は検査レベルが確保されていますので、大動脈瘤の手術をお願いしても、2週間程度で当院に帰ってくることができ、患者さんからもご好評をいただいています。」
3. 整形外科
現在は手術を行っておらず、外来のみであるが、来院患者数は多い。
「外来のほか、骨折の手術を他院で行った患者さんのリハビリのニーズも高いです。また、圧迫骨折による安静のための入院も少なくありません。地域から必要とされている診療科ですから、整形外科の医師には是非、いらしていただきたいですね。」
4. 脳神経外科
粟根浩一郎副院長のほか、東海大学医学部付属八王子病院からの非常勤医師も活躍している診療科である。MRIやCTを駆使し、質の高い診断を行っている。
「佐藤修医師による脳ドックも好評で、予約がすぐに埋まっています。当院の脳ドックは1万円なんです。健康保険の補助がない方にとって、自費での脳ドックは負担が大きいということで、一人でも多くの方に受診していただくことを目的に計画しました。未破裂脳動脈瘤の発見に的を絞っていますが、地域の皆さんへの啓蒙という面もあります。」
5. リハビリテーション科
様々な疾患に伴う、各種の障害に対してのリハビリテーション治療を行っている。大学病院などの急性期病院を退院した患者さんが在宅医療を始めるまでのケアのほか、回復期リハビリテーション適応でない患者さんも来院している。安静臥床などによる関節拘縮や嚥下障害などの廃用症候群の予防や治療にも力を入れている。
「現在、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士は合わせて45人います。これだけのスタッフ数ですから、きめ細かい対応ができますね。計画を立てて、ゴールまで持っていきます。当院は3病棟ありますが、在宅へ帰られる患者さんは7割を超えていますよ。」
6. 東京天使病院附属駅前クリニック
2008年に京王八王子駅前に開設した、睡眠時無呼吸症候群の専門診療を行うクリニックである。現在、クリニックで600人、病院で200人の患者さんのフォローアップを行っている。月に50人から60人の新規の患者さんが来院するが、入院が必要なPSG検査に関しては東京天使病院で行い、クリニックとは機能を分けている。
クリニックには検査技師が常駐し、適切なアテンドのもとでの検査を行っていることが特徴である。
「八王子市内のみならず、日野市や多摩市の開業医の先生方からのご紹介も増えています。遠くは山梨県大月市からもいらしていますね。八王子市には都心や横浜市内に通勤する方々が多いのですが、職場の近くの医療機関にかかりたいというニーズもありますので、今後はそういったネットワークを構築できたらと思っています。」