院長メッセージ
京都協立病院の担うべき医療は診療圏の中でどういったものですか。
中丹医療圏の中においては、公的病院が地域の中核的な病院として急性期医療を担っていますので、当院は急性期疾患治療後の亜急性期医療を中心に担っています。また、この診療圏は診療所が少ないこともあり、風邪や高血圧、高脂血症などのコモンディジーズ的な疾患も多く診ています。亜急性期の医療として、具体的には急性期疾患治療後のリハビリテーションなどを行い、在宅に帰るまでの医療を行っています。
都会のように、病院の機能別に患者さんを細かく振り分けることができる地域ではありません。どんな症例でも頑張って自分たちで対処しています。そんな地域完結型の医療を行っていますが、当院で8割から9割の疾患はきちんと完結できています。
京都家庭医療学センターについて、教えてください。
京都家庭医療学センターの中で後期研修プログラムを作成し、家庭医を育てているのですが、後期研修医は3年間の研修のうちの1年間、当院で地域医療を経験してもらっています。何でも診るのが家庭医です。京都市内とは異なり、診療所や病院も少なく、患者さんのバリエーションも豊富ですから、研修医にとって、とても良い環境です。色々な経験ができますね。患者さんも近隣の方が多いですから、いわゆるモンスター的な患者さんもほとんどいらっしゃいません。私自身が当院に来て感じたことですから、間違いないですよ。
回復期リハビリテーション病棟開設について、教えてください。
回復期リハビリテーション病棟開設を決定するにあたっては、やはり地域からの要請を強く感じました。現在、綾部市には回復期リハビリテーション病棟を持つ病院はなく、近隣では福知山市民病院のみです。今後、舞鶴赤十字病院に回復期リハビリテーション病棟ができるようですが、これらは整形外科疾患の治療後のリハビリが中心です。一方で、本院は脳疾患のリハビリに力を入れたいと思います。今後、リハビリテーションの機能と地域包括ケアの機能を強化することは病院としてとても重要ですので、医師確保を含めて、注力していきたいですね。
京都協立病院のどういったところが気に入っておられますか。
チーム医療をやりにくいという医療機関は現実に存在するのですが、当院は病院自体が大きくなく、熱心な職員集団ですので、本当のチーム医療が実践できています。チーム医療を実践する際に、医師は当然、チームのトップであり、司令塔ではありますが、医師が何かをしないと組織が全く動かないというようなことは当院にはないですね。各職種の職員が「地域医療を自分たちで支えているのだ」という使命感を持って行動しています。「患者さんのために」という一点を共有した医療を実践できていることはとても良いところだと感じています。
どういった医師と一緒に仕事がしたいですか。
まだ若い医師であれば勉強に来てもらっても構わないですし、ベテランの医師であれば当院でさらなる活躍の場を見つけていただければ嬉しいです。ベテランの医師にはこちらが教えていただくことも多々あると思います。どんなご専門をお持ちであっても、歓迎いたします。
女性医師の勤務に対して、配慮している点などはありますか。
民医連の制度として、短時間労働制の導入や育児期間における当直免除、女性専用の休憩室確保などの対処が可能です。女性に対する配慮ももちろんですが、男性医師であっても色々と配慮をしています。事情をお話しいただければ、就業開始の時間をずらしたりすることも可能な場合があります。まずはご相談いただきたいですね。
綾部市の魅力について、教えてください。
私が以前、当院に勤めたときは家族揃って綾部市に引っ越しをしてきたわけですが、京都市内で長く暮らしたこともあり、最初は田舎だなと感じました(笑)。しかし、子育てをしていく中で「子どもは田舎で育てるに限る」という結論に至りました。子どもの足はどんどん速くなりましたし、とても逞しく育ってくれましたので、都会よりも子育てにはいいと思っています。
アフターファイブや休日の過ごし方について、教えてください。
以前、当院に勤めたときにマラソンを始めたんです。今もジョギング通勤をしていて、とても健康的な生活を送っています。空気のきれいなところですから、走るととても爽快な気分になります。 職員の中には釣り好きな人もいますし、カヌーを頑張っている人もいるようです。アウトドアのお好きな人には色々な楽しみ方があるのではないでしょうか。
今後、日本の医療はどのようになっていくべきと思われますか。
どのような立場の方でもお金の心配なく、同じ医療が受けられるべきですね。医師不足については、今後も急に緩和されることはないと思われますので、一人二役的な医療を行える医師も必要になるでしょう。高齢化により、多疾患と障害のある人が増えますので、家庭医とリハビリ医のニーズは高まると考えていますが、本院は両分野での研修施設です。復職支援の観点で言えば、超短時間の労働でも受け入れられる体制作りが不可欠です。医療は地域とともに作っていくべきものなので、今後も地域の要請に応えることが重要です。