運営・経営方針
1.運営・経営方針
鴨居病院の運営、経営における特徴の一つが2人のソーシャルワーカー(MSW)が在籍していることだ。
「MSWは私どもから他施設への紹介を行う場合に窓口となったり、逆紹介として慢性期の患者さんをお受けするときのアナウンスを行ったりと活躍しています。現在、紹介率、逆紹介率ともに40%強なので、さらに向上させたいですね。」
鴨居病院の「方針」で示されている「地域活動に積極的に取り組む」では医師によるワンポイントアドバイス講演会を開催している。
「私どもの医師が地区の自治会に出向き、腰痛などの講演を行っています。患者さんにいらしていただくだけではなく、こちらから出かけていくことが大切だと思っています。」
患者さんの待ち時間を減少させ、満足度を向上させるためにオーダリングシステムを導入しているが、このほど小児科に予約システムも導入した。子どもの負担軽減や子どもの感染症を軽減することに繋がり、好評を得ている。
「患者さんの満足度向上に取り組むことは当然ですが、私どもは職員の働きやすさも重視しています。有給消化率はほぼ100%ですし、休暇を充実させていますね。1年に1回、職員旅行も行っています。5月の第3土曜と日曜に実施していますので、新卒で入った職員が馴染みやすい時期なんですね。皆が打ち解けて仲良くなれる機会として、大事にしています。今年は伊豆の下田に行きましたよ。」
2.医療連携
主な連携先としては三次救急を行っている昭和大学横浜市北部病院、横浜労災病院が挙げられる。
また、鴨居病院は横浜市緑区医師会に加入しており、勤務医も医師会員となっている。そのため、病診連携を行ううえで重要な情報の共有がスムーズである。
「医師会に加入していますと、休日診療所での勤務もあります。そういった場で近隣の開業医の先生方と顔の見える関係が構築できたと思っています。お蔭様で紹介率も高まってきました。今後は開業医の先生方へ私どもの医療機器を貸し出したり、オープンベッドを進めていきたいです。」
3.病児保育
鴨居病院は子育て支援に力を入れている。女性医師をはじめとした職員の産前、産後、育児休暇の取得のほか、子どもさんの事情に合わせて、勤務時間の調整も行う。
院内保育所は早くから設置していたが、2011年4月には医療機関併設の病児保育所である「みどり病児保育室」を病院の裏手の場所に開設した。病児保育室は疾病のために保育園に通えない子どもを預かるための施設で、仕事を休むことができない保護者に代わり、看護師や保育士が子どもを預かっている。
対象は職員の子どものみならず、生後6カ月から小学3年生までの子どもとなっている。かかりつけ医と鴨居病院の医師が保育可能と判断すれば預けることができる。保護者がやむを得ない理由で育児ができない状況であることも条件だ。
「これまで緑区内には病児保育室がなく、緑区内の親御さんは他区の施設を利用されてきたそうです。それで、緑区内にも作ってほしいというお声が多く寄せられたのを機に、開設しました。緑区では初めて、横浜市では14カ所目の施設なんですよ。今は遠方からの利用者も増えてきましたね。今後も働くお母さんたちにこの事業を知っていただけたらと思っています。受け入れ人数の増加も検討しています。」
4.今後の展開
高齢社会が一気に進んでいきますので、私どもの位置づけを考えていかなくてはいけません。今後は急性期よりも亜急性期や慢性期医療を充実させ、療養病床に注力する必要があると考えています。高齢化の進展にも関わらず、横浜市の北部地区はベッドが足りていない状況ですので、そこへ医療として入り込んでいけるように、3年前からサービス付き高齢者向け住宅の開設を検討しています。いわゆる転ベッドですね。私どもの入院患者さんにサ高住に移っていただき、具合が悪くなられれば、私どもに入院していただくという流れを作っていきたいです。