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「地域住民の皆様に安全で質の高い医療・福祉を効率的かつ継続的に提供する」
社会医療法人蘇西厚生会 松波総合病院

病院の特色


1.PFM(入退院)センター

 2014年9月にPFM(入退院)センターの稼働が始まった。PFMとは「Patient Flow Management」の略である。松波総合病院にはICU、HCU、一般急性期病棟、回復期リハビリテーション病棟、地域包括ケア病棟の5つの病床群があるが、これらを有効活用するためには入退院の患者さんをサポートする部署が必要であるということで作られたセンターである。
 PFMセンターでは入院が決まった患者さんに入院前からサポートをしている。予約入院の患者さんが中心だが、病状、ご家族の状況、社会環境などを伺い、病床の説明や入院後の生活についての情報提供を行っているほか、不安なことなどの相談を受ける。また、退院後に介護環境の整備が必要な患者さんには社会福祉士などの相談員と連携し、早めの情報提供に努めている。
 全病棟のベッドコントロールに関わる権限は主治医へのアドバイスを含め、全面的にPFMセンターに与えられているのが特徴だ。

「副院長をトップに、看護師や医事課のスタッフなど8人を配置しています。看護師は患者さんの容態から今後の治療の流れを適切に予測します。病状と医療の投入度は比例しますから、医療必要度を医事会計上から確認するために、医事課のスタッフも加えています。メンバーは毎日、患者さんの最新の状況から院内でのフローを確認、管理しています。入院までのフロー管理では特に急性期の患者さんに対し、紹介元との連携、スムーズな事務手続きから一刻も早く治療へ繋げています。また、障害者病棟を円滑に運用するためには地域で必要とされる患者さんの人数の把握、時期の予測が欠かせません。地域医療介護連携室と協力しながら、地域の病院を回って、情報を得る関係づくりも進めています。」



2.岐阜県の地域医療構想

 岐阜県は将来の医療需要に基づく必要病床数を勘案し、岐阜圏域の医療提供体制を見直した。そこで重視された視点は適正な役割分担、病床規模の適正化、経営基盤の効率化であり、岐阜県は各医療機関が自主的に取り組めるように支援するという。
 岐阜圏域は高度救命救急、ドクターヘリ基地、災害拠点、がん拠点、総合周産期といった、岐阜県全体の高度医療を担うが、その中でも岐阜大学医学部附属病院は岐阜県全体の急性期医療の中心的役割を果たすことが期待されている。そして、松波総合病院は岐阜県総合医療センター、岐阜市民病院とともに、岐阜大学医学部附属病院と連携しつつ、岐阜圏域の急性期医療を任される。

「2014年7月に急性期医療に特化した新館であるNORTH WINGを完成させました。災害拠点病院として、ヘリポートをはじめとした災害時の医療体制を整えると同時に、特に救急医療の充足を図ったのです。NORTH WINGでは脳卒中や心疾患などの患者さんの搬送先として24時間対応ができるよう、ハイブリッド手術室を完備しています。患者さんの負担が少ない低侵襲治療も積極的に導入していますが、その代表がダ・ヴィンチですね。また、早く治るには栄養状態を改善させ、痛みを低減させることも大切ですから、当院では入院後の早い時期から口腔ケア、栄養管理、疼痛管理などの専門チームが対応しています。」



3.地域包括ケアシステムを含む病棟機能

 松波総合病院は地域の医療需要を分析しながら機能再編の検討を進めてきたが、新たな体制として選択したのが「スーパーケアミックス」である。これは「高度急性期から急性期」、「急性期後の亜急性期から回復期」を車の両輪として、それぞれに特化して強化を図りながら、それぞれを有機的に連動させて早期の自宅復帰を目指す医療体制であり、松波総合病院独自のネーミングである。
 2014年秋に、医療機関が病棟の機能を都道府県に報告する病床機能報告制度がスタートしたが、松波総合病院ではその前のNORTH WING開設を機に「救急から在宅まで」を合言葉とした機能別の病床群を整備した。
 松波総合病院が再編した病棟はICU、HCU、一般急性期病棟、回復期リハビリテーション病棟、地域包括ケア病棟の5種類である。高度急性期医療のICUとHCU、急性期医療の一般急性期病棟をNORTH WINGに設けた。ここで機能回復や低下した能力の改善が必要な患者さんには回復期リハビリテーション病棟で回復期医療を受けてもらう。一方で、すぐに日常生活に戻ることが不安な患者さんには地域包括ケア病棟を勧める。その時点で、病状が安定し、社会や自宅復帰が可能ならば退院できるし、回復期リハビリテーション病棟や地域包括ケア病棟から施設入所やご自宅への選択肢もある。
 地域包括ケア病棟はSOUTH WINGの8階に誕生した。ここでは医師、看護師、メディカルソーシャルワーカー、リハビリテーションのスタッフのチーム医療により、患者さんの在宅復帰に向けた治療や退院支援を行っている。

「当院の5種類の病棟は患者さんの『安心入院』と『納得退院』を第一に考えたものです。人口減少と高齢化が進む中、厚生労働省は地域包括ケアシステムを提唱しています。これを実現するのが医療提供者の課題ですね。急性期から在宅、介護までの切れ目ないケアを提供するために、地域の医療機関との連携や情報の共有化、地域の全体最適化を目指して、安全、安心な街づくりに貢献していきます。」


2016.08.01 掲載 (C)LinkStaff

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