運営・経営方針
1.運営・経営方針
皆野病院では2012年12月に2016年までの「中長期計画」をまとめたが、現在の運営・経営方針について、若山院長にお話を伺った。
「中長期計画ではクリティカルパスに言及がありましたが、実際のところ、当院ではあまり使用していません。定型的な業務が多い病院ではクリティカルパスは有用なツールですが、当院は脳梗塞や肺炎などの臨時入院、緊急入院が多いので、待機的なヘルニア手術ぐらいでしか使わないですね。今後は地域のニーズにいかに応え続けられるかだと思います。しかし、ニーズを作り出したり、特殊な商品を売り出すのは医療にそぐわないです。地域完結型の医療を構築し、提供させていただきたいですね。」
2.地域連携
皆野病院では開設以来、地域に密着した姿勢を保っているため、イベントが多い。最大のイベントは病院祭である。また、医療講演、出前講座のほか、皆野町で認定している「いきいきサポーター」を支援している。シルバー人材センターや病院ボランティア制度など、地域の人材活用にも積極的だ。
皆野病院は「ちちぶ医療協議会」に参加し、秩父地域の医療の充実に尽力している。これは総務省が推進する地域振興政策の「定住自立圏構想」の枠組みの中で行っているもので、地域の病院や診療所との連携を強めている。
「地域の開業医の先生方との交流も盛んですね。情報やデータのやり取りへのハードルが低いです。地域の電子カルテがあれば、さらに良くなると思います。日頃、開業医さんにかかっている患者さんは夜、具合が悪くなると、病院にかからざるをえなくなりますが、この地域は輪番制ですから、通院先で診てくれない事態になります。当院にいらしても、カルテは真っ白ですので、そこで開業医さんにデータをファクシミリで送っていただいています。開業医の先生方が当院のMRIやCTをお使いになることもあります。開設して15年ですが、今後は地域連携室の機能を強めていきたいですね。幸いなことに、MSWが在籍し、患者さんとほかの医療機関との橋渡しを頑張ってくれていますので、これからも患者さん中心の医療を進めていきます。」
3.今後の展開
埼玉医療生活協同組合の急性期病院は当院と羽生総合病院がありますが、病院間の距離が遠いために、気持ちも離れてしまう恐れがあります。今後は埼玉医療生活協同組合内での人と情報の交流を増やしたいですね。大きな計画としては羽生総合病院の新築移転があります。病院の規模も大きくなる予定です。新築移転してすぐは落ち着かないかもしれませんが、落ち着いたら当院との交流の機会を増やします。色々な力を結集させたいですね。徳洲会グループの中ではそれなりに交流があるのですが、連携を強めていかないと、当院単体では運営が難しくなると思います。
また、当院の解決すべき課題の一つが医師の充足です。内科系、特に循環器、呼吸器、消化器の医師に来ていただきたいですね。