運営・経営方針
1.運営・経営方針
牧理事長に運営や経営の方針について、伺った。
「患者さんや職員の満足度、職員のワーク・ライフ・バランスを考えたうえで、マーケティングを基本とした経営戦略を立てています。理念のもとで、法人全体の重点計画や施設の計画を年間計画に落とし込んでいきますが、それを考えるときに患者さんや職員の満足度と医療の質をどうバランスさせるかが大事ですね。そして、具体的なアクションプランを作っています。」
続けて、吉田院長にも伺った。
「この規模の病院は一般的に紹介率が高くないのですが、当院は紹介率がかなり高く、経営に大きくプラスになっています。患者さんの割合は救急、外来、紹介で3分の1ずつなのですが、80床の病院で、3分の1が紹介患者さんというのは本当に珍しいと思います。旭区の開業医の先生方の中に牧病院が根付いていて、患者さんに『牧病院さんに行っておいで』とおっしゃっていただいているのでしょうね。ただ、今は昔と違って救急を取らないと経営が成り立たない状況になっています。ほかの病院も救急を頑張っていますし、当院も救急を積極的に取って、収益を上げていくことが課題です。」
2.地域連携・医療連携
牧病院では1999年に「地域連携の会」をスタートさせた。この取り組みについて、牧理事長に伺った。
「一番大きなミーティングは年に2回、地域の開業医が集まって行います。そのほかは個別の活動ですね。私も以前は地域連携室のスタッフと一緒に開業医さんのほか、病院、老健、特養などを回っていました。地域連携室は紹介のみならず、CTやMRI、内視鏡なども窓口となっていますし、定期的なフォローもしています。地域連携ではフェイス・トゥ・フェイスが基本です。当院の会のほかにも医師会主催の会もありますから、ミーティングの機会が豊富で、顔が見えるお付き合いができています。『じゃあ、これはお願いしますね』というような関係がありますから、よく連携が取れている地域だと思います。」
毎年春には牧病院主催の会を開催しているが、これについては吉田院長にお話を伺った。
「その会では当院で取り組んでいることや新しい医師の紹介もしますが、地域の先生方にも発表をお願いしています。当院ができてから50年近くの歴史があり、地域とは深い繋がりがある病院ですので、繋がりを切らないように努めています。」
3.今後の展開
牧:東住吉区にある小山病院を城東区に新築移転することになりました。それに伴い、牧病院と小山病院の機能を分担させて再構成する計画を立てています。その一つが牧病院の整形外科のスピンアウトです。整形外科の機能をさらに向上させて、整形外科の専門病院にします。外傷にプラスして、慢性疾患の脊椎、人工関節、スポーツ内視鏡を伸ばすべく、人材確保を行っているところです。
残った牧病院は外科と内科だけになりますが、どちらかと言うと内科中心で、地域包括ケア的な病院になります。今も在宅支援病院ではあるのですが、少し弱いんですね。当院から訪問診療に行くことはなく、開業医さんが訪問診療をして、何かあったら、当院でバックアップする体制なのですが、開業医さんの在宅診療にも限界があります。残念ながら在宅に帰れず、療養型や施設に行くという患者さんを在宅で診る仕組みを作るのが狙いです。そのためには医師だけではなく、いわゆるチーム医療で、訪問看護師、リハビリセラピスト、薬剤師、管理栄養士といった、病院そのものがお宅に伺えるようなスタイルの在宅診療を行いたいですね。それから救急の強化です。内科は牧病院と、整形外科は牧整形外科病院で、24時間体制で何でも診られるようにします。
吉田:私が消化器内科医ですので、消化器については基本的なことはできますし、手術も行っています。整形外科の医師が3人、麻酔科の医師も2人いますから、外科的な処置はいつでも可能です。2019年に整形外科の専門病院ができますから、当院は内科と外科だけになります。今は7対1看護で80床ですので、ある程度の高回転で回していますが、今後は地域包括ケア病床のような形に変えていきます。在宅で診ていたけれど、ご家族が困っていたり、熱はないけれど、ご飯を食べられないから点滴をしてほしいという患者さんを診ていくことを考えています。地域の開業医の先生方も高齢になってこられ、在宅を回りきれなくなってきたという話も聞きますので、当院でフォローしてさしあげたいですね。そのための看護師の配置などの問題をこれから検討していきます。