運営・経営方針
1.運営・経営方針
大友院長に運営や経営の方針について、伺った。
「独法化されましたが、国の補助金は一切受けないのが基本です。とはいえ赤字経営は許されませんので、ボーナス減額となるような赤字にしないことが重要です。幸い、JCHOになってから、当院は年間赤字を一度も出したことがありません。補助金はありませんが、国所有の立地にあり、土地の使用料を支払わなくていいのが民間よりも救われているところでしょうか。しかし、独法化したことによる責任の重さも感じています。JCHOは地域医療に貢献する使命がありますから、地域の医療機関との密な連携と役割分担が必要です。例えば、外来が満員になると入院の仕事に対応ができなくなりますので、外来の患者さんはできるだけ地域の医療機関の先生方に見ていただくということですね。」
紹介率や逆紹介率を上げる取り組みとして、「バトンタッチ紹介」が挙げられる。
「当院の患者さんが治療を終え、予後を地域の病医院にて見守って頂く逆紹介を『バトンタッチ紹介』と名付けました。患者さんへは『紹介はしますが、バトンを渡すだけです。また当院にいらしてもいいですよ』とか、『身体の容態は悪くないのですが、心配なら、いつでも来院してください』と説明しています。患者さんが不安なく、地域の先生方と当院を行き来できるよう配慮しています。これで紹介率を60%、逆紹介率を80%としましたが、私としてはどちらも80%以上にしたいと考えています。」
大友院長は救急医療の充実も経営に不可欠だと語る。
「救急対応は住民の方々が一番望んでいらっしゃることです。当院への救急搬送は右肩上がりで増えており、今では年間2700台をこえています。目標は3000台です。現在は常勤医師が研修医を入れて85人、非常勤医師は健康管理センターなどの附属施設を含めて32、33人の体制です。救急搬送は24時間365日の仕事ですから、無理はできませんが、スタッフの数が増えれば対応できると考えています。」
2.地域医療・医療連携
大友院長に地域連携や医療連携について、伺った。
「当院は大型の病院にも関わらず、10年以上前から訪問看護ステーションに取り組んでいます。当院を退院した患者さんを看ていますが、バトンタッチ紹介の観点より地域の先生方に主治医になっていただいています。去年から訪問リハビリも始め、お役に立てるようにしています。」
医療についての講義も行っている。
「地域の住民の方々や中小病院の医療関係者を対象に、年3回程度、500人ぐらい入るホールを使い、テーマを絞って無料セミナーをしています。このほか、医療機関の先生方、看護師などのコメディカルスタッフを集めた講演会も当院で行っています。こちらも年3回で、当院の当該スタッフは全員出席します。先日は90人もの方々がお越しになり、当院の脳神経外科と神経内科のスタッフによる講演を聞いていただきました。『当院ではこういう治療をやっていますので、このような症状の方は早めに来院してください』といった話をして、コミュニケーションを取るようにしています。これがスムーズな紹介に繋がっていますね。」
3.今後の展開
地域の支援病院として、地域全体の教育に力を入れていきます。当院だけが良い病院になったとしても、診ることができる患者さんは少ないです。それぞれの診療所や病院がレベルを上げていただくことが私たちの目標です。現在は当院の専門看護師が地域の看護師や住民の皆さんに対応の仕方などの講演もしていますし、地域のレベルアップを図っています。