220
手には技術 頭には知識 患者様には愛を
運営・経営方針
1.運営・経営方針
瓜生田院長に運営や経営方針について、伺った。
「カマチグループはシビアな経営方針を持っています。私自身は長く自衛隊病院に勤務していましたので、採算を気にしたことはなかったんです。東芝が赤字だと聞いても、赤字という概念すらありませんでした(笑)。国立の病院は現在、自衛隊病院と宮内庁病院だけですが、4月1日からの会計年度で予算制度ができています。診療報酬は国庫に入りますので、1方向のみだったんですね。しかし、当院は民間病院ですから、そういうわけにはいきません。救急を中心に地元密着の中規模総合病院であるように努めていきたいと考えています。」
東京品川病院の人間ドックについて、尋ねた。
「これまで人間ドックに来られる7割の方が東芝の職員だったのです。これを引き継ぎたかったのですが、難しかったですね。しかしながら、受診される方が少しずつ戻ってこられましたので、今後は力を入れていきます。」
職員の働きやすさについても伺ってみた。
「東芝病院は大企業の病院ですし、企業の医務室から出発した病院でしたから福利厚生の良さは全国でもトップクラスでした。看護師には3年の育児休暇がありましたし、子どもさんが小学校を卒業するまでは夜勤免除もありました。一方で、私どものカマチグループの福利厚生は平均的な水準ではないでしょうか。東芝病院からの看護師は3分の2、医師は3分の1が残りましたが、激変した環境に馴染み、カマチ流に慣れてきたようです。スタッフに明るい雰囲気が広がっています。皆、よく働くという印象がありますし、院内での挨拶も活発ですね。」
2.地域連携
東京品川病院では健康教室や出張健康教室を頻繁に開催し、地域住民との関係を強めている一方で、地域医療連携室を作り、地域連携に積極的に取り組んでいる。地域の開業医との救急症例検討会なども開いている。
「法人が変わったときに地域医療連携室も改めて立ち上げました。カマチグループ全体が地域連携に熱心で、会長もかつて病院を作ったときは自ら診療所を回ったそうです。私も今日もこれから何軒かの診療所にご挨拶に伺う予定になっています(笑)。当院は『断らない救急』をモットーにしていますので、入退院の調整が難しいのです。出し先の確保のためにも地域の医療機関との連携は必須です。立ち上げの頃は紹介率が落ちたのですが、ようやく信頼をいただけたようで、40%ほどに回復しています。今後は逆紹介にも力を入れたいですね。救急車も東芝病院の最後の年は2000台でしたが、今は5000台ペースになっています。」
3.今後の展開
会長は「当院は大学病院にもがんセンターにもなれないけれど、300床あって、地元に密着していて、敷居の低い中規模病院であることを目指そう」と申しています。当院らしい特徴を出していければ、展開の仕方もまた変わってくるかもしれませんが、まずは地元の方に頼りにされ、それに応えられる病院でありたいです。
診療科に関しては産婦人科など、東芝病院から引き継げなかったものもあります。産婦人科は地域のニーズがありますので、大学と組むことで開設できたらと思っています。眼科、泌尿器科、皮膚科、耳鼻咽喉科は1年をかけて準備しましたが、このほど再開します。眼科も7月に再開予定です。呼吸器外科は4月に常勤医師が来ました。病院全体で外来の患者さんも増えてきましたので、今後は間口をさらに広げて、診療の質を向上させていきたいと考えています。