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「高度な医療で愛し愛される病院」
牧野記念病院
運営・経営方針
1.運営・経営方針
大平院長に運営や経営方針を尋ねてみた。
「院長という立場で意識していることはメンバーや設備などの病院全体を見渡して、『全体最適』の状態を作ることです。人にはそれぞれ技量があって、それぞれの目標がありますので、それを調整して、最大限の力を発揮してもらえる現場にしていきたいですね。当院はお互いのワーク・ライフ・バランスに皆が配慮し合っていますので、医師同士だけでなく、看護師や薬剤師など、職場を超えたスタッフも相談しやすい雰囲気があります。医師が治療方針を全て進めるのではなく、多職種連携を行うことで、本当に患者さんにとって、より良いケアを探っていくことができます。そのようにして、周囲の人が自分の力を引き出してくれていると感じます。」
大平院長は医師が働きやすい環境作りにも取り組んでいる。
「急性期病院は24時間体制でのサービス業です。しかし、私たちが若かった頃と今の若い世代は違います。私たちは24時間、患者さんに尽くせと教えられ、何かあれば病院から呼び出されたり、2、3日、家に帰らないということが普通にありましたが、今はそういうわけにはいきません。プライベートも大事ですし、ワーク・ライフ・バランスを皆で考えようとしています。転職したい医師から『これまでずっと忙しかったから、少しのんびりしたい』という話を聞くことがありますが、この『のんびりしたい』を否定的に捉えることをせず、勤務時間内に関しては一生懸命に働いていただける環境にしていきたいですね。」
牧野記念病院の病床数は183床だが、大平院長はこれを程よい規模だと語る。
「400床、500床の病院ですと、医師同士ですら名前が分からず、事務スタッフやコメディカルスタッフの顔も分からないんです。でも、当院の規模でしたら、皆が顔見知りですから、コミュニケーションが取りやすいんですね。他部署と連携が取りやすいので、働きやすいです。他科へのコンサルトのときは、もちろん紙ベースでもお願いしますが、医局で『先生、この画像をちょっと見て』と声をかける機会も多いです。」
2.女性医師
牧野記念病院の周辺は急性期病院が多く設置されており、医療環境としては恵まれている地域である。牧野記念病院では地域連携室を設置し、2人の常勤職員が地域医療機関とのネットワーク構築に努めている。また、患者さん向けの広報誌の発行や講演会などの開催も行っている。
「この地域の三次救急の病院は横浜労災病院と昭和大学藤が丘病院であり、当院としては二次救急医療機関としての役目を発揮できるように頑張っています。地域連携室の職員は紹介状のお返事を直接、クリニックにお持ちしたりなど、近隣のクリニックや病院をよく訪問していますね。紹介率、逆紹介率ともに向上してきているところです。」
3.今後の展開
2018年4月に牧野リハビリテーション病院を開設します。場所は当院から200メートルぐらい離れたところです。そのため、整形外科、脳神経外科、リハビリテーション科の医師を募集しています。病床数は回復期リハビリテーション病床60床、療養病床60床となる予定です。現在の当院には86床の障害者施設病床、8床の地域包括ケア病床があり、療養病床に近い内容で稼働しています。これらの役割をリハビリテーション病院が担えるようになると、当院は急性期病床だけになります。実際は在院日数などを考慮しないといけませんので難しいのですが、急性期病院としての牧野記念病院、亜急性期以降の牧野リハビリテーション病院と機能を分けていきたいです。そこで、牧野記念病院の建て替えも計画中です。その中で診療科をどのように増やすのかなども検討に入っています。