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高度な医療を、全ての人に平等に
医療法人 徳洲会 東京西徳洲会病院
運営・経営方針
1.運営・経営方針
菊一院長は「全ては患者様のために」という患者第一主義と人本主義をテーマに掲げている
「自分の所属する病院に不満や不信感を持っている人間が患者さんににこにこ顔で対応できるでしょうか。自分が虫けらのように扱われていながら、経営者や上司のために一生懸命、働こうとする人はいないでしょう。患者さんに医療を提供するのは病院職員です。患者さんのことを考えるより、職員の幸せを真っ先に考えるのが少なくとも経営者や管理者の仕事だと思います。病院に関わりのある人を幸せにする活動こそが経営であり、職員が自分の所属する病院に愛情を持てば持つほど、業績が上がるのは当然なのです。」
一方で、東京西徳洲会病院は全国に展開する徳洲会グループに所属するため、医療機器の一括購入など、スケールメリットを活かしたコスト削減が可能になるメリットもある。
「全国に30台しかないという話もある医療ロボット、ダ・ヴィンチを導入しようという動きもあります。これは単独の病院ではとてもできないでしょうね。こういった医療を意欲的に行っていきたいと考えている若い先生方を大歓迎しますよ。」
2.女性医師の復職支援
東京西徳洲会病院では、医師としての活動が長期間、休止した女性医師を対象に、復職を支援する研修プログラムを独自に整備している。特定の診療科目への復帰にあたり、総合診療科目が2年以上の医師は3カ月から6カ月程度、総合診療科目が2年未満の医師は1年から2年程度、内科や小児科などの初療を研修する。研修後は総合診療科目が2年以上であれば特定の診療科目の研修を1年から2年、総合診療科目が2年未満であれば特定の診療科目の研修を2年から3年のスパンで行う。初療研修は過去の経験次第で短縮や免除が可能であり、特定科目の研修も希望に応じて延長や短縮ができる。
「原則として、2年程度の総合診療科経験があれば後期研修医として、2年に満たない場合は初期研修医としてのトレーニングになります。ただし、後期研修医として研修をスタートした場合でも基礎的な知識や技術に不足があれば、初期研修プログラムに入っていただくことがあります。将来、目指している診療科や開業予定科目に応じて、様々な方法で研修を行っています。」
また、院内保育所も24時間体制でオープンしている。
「医師のみならず、看護師などのコメディカルスタッフも利用しています。今後も病院として手厚く応援していくつもりです。」
3.無料健康講座
糖尿病教室のほか、健康講座を積極的に開催している。テーマは「上手に受けよう人間ドック」、「知っておきたい介護のABC」、「見直そう、あなたの食生活」、「本当は怖い更年期障害の話」など多岐に渡っている。ときには菊一院長も講師として演壇に立っている。
「私はもともと外科医ですし、いわゆる専門馬鹿のようなところがあるんですね(笑)。ですから、こういった講演にあたっては勉強しながら講師を務めています。無料健康講座は徳洲会グループの特色の一つですし、地域の住民の方々に病院をアピールする機会としても大切です。地域医療に貢献するべく、ずっと続けていきたいイベントですね。患者さんを応援するサポーターさんたちの『健康友の会』のみならず、一般の方々にも輪が広がっていってほしいです。」
4.今後の展開
設立から7年、まだ若い病院です。当初の計画があまりにも壮大で、規模も大きく、医療機器も充実させて設立されたがために、発展に時間がかかっている面があります。急性期医療からの視点に偏った供給側の都合による切り分けや専門化が地域のニーズに合っていない問題点もありますし、診療科の偏在や地域の偏在に責任を持たない供給側の自立性も問われています。今後、急激に変化する人口構成にスピード感を持って対応し、本当に頼りになる病院を目指していきたいですね。具体的には地域医療支援病院の指定を目標にしています。地元の患者さんから支持をいただくようになってきましたので、地元の医師会の先生方にも認知していただき、紹介率、逆紹介率を向上させたいと思います。
多職種、多部門の病院という組織ではそれぞれの職域に壁を作らず、隙間を作らず、境界領域の仕事を補うという土壌を養う必要があります。各職種間のコミュニケーションを図り、相互連携を深めて組織力の高い病院を目指します。病院は地域の財産ですので、住民の皆さんを加えたチーム医療の実践が理想ですね。