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社会医療法人 畿内会
岡波総合病院

運営・経営方針

1.運営・経営方針

 伊賀地域の医療環境として、三重県からは二次医療圏とは別に、地理的、文化的な独立した圏域として、伊賀サブ医療圏が設定されている。伊賀サブ医療圏の人口は約18万人であるが、高齢化率が高く、低所得者層や外国人が多いという特徴がある。三重県では10万人あたり623.7床の急性期病床であるが、伊賀サブ医療圏では447.7床しかなく、また勤務医数、看護師数も県内平均を大きく下回っているため、救急医療崩壊を起こしつつある。さらに、在宅医療においても、開業医数も少なく、独居高齢者や夫婦のみの世帯数が多いため、家族からのサポートが脆弱な環境にある。

「この状況を踏まえ、当院としては人員体制の整備を行い、救急医療の崩壊を食い止めるべく努力している。平成26年度の救急応召率は96%であり、救急医療に関わる全職種が集まる救急医療対策委員会を開き、断った症例の検証作業を定期的に行い、次の受け入れに向けた建設的な議論を重ねています。また、救急などで他地域へ流出した患者さんの転院の受け入れに努め、2014年度は150人の受け入れを行いました。一方で、緊急紹介に対応し、開業医の先生方を支援しています。」

 病院の健全な運営にあたっては効率的な病床稼働が欠かせないが、岡波総合病院の病床数は一般病床249床、障害者病棟36床、回復期リハビリテーション病棟50床の計335床であり、限界もある。

「数少ない病床を効率よく稼働させるため、入院早期から退院支援介入を行っています。さらに、病院全体の空床のタイムリーな把握、後方病床への効率的な転棟を促進させるため、毎朝、ベッドコントロール会議を開いています。グループ内3老健施設など、法人内の後方病床とスムーズに連携し、急性期病棟が救急を安定的に受けられるように、各病棟や施設が共通認識を持って、協力し合っていますね。」



2.地域とともに学ぶ

 岡波総合病院では地域の医療、介護従事者と岡波総合病院のスタッフがともに学ぶ体制を作っている。教育委員会研修、褥瘡委員会研修、感染対策研修、医療安全研修など、多数の地域医療関係者が参加している。
 また、医療サービスの質改善の取り組みに関しても長い歴史を持っている。

「QC手法の活用は今では多くの病院が取り入れていますが、病院業界の中では当院は先駆的でした。2011年には日本科学技術連盟から全国で唯一、QCサークル経営者賞を受賞したんですよ。2014年度は新たに活動報告会を開催し、質改善に繋げていこうとしています。」


 2015年度は「おかなみ出前講座」を開設し、60以上の講座を地域に発信していくことになった。

「住民や地域の医療従事者が自由に講座を選び、指定された場所に出向いていって、講義や健康教室を行うものです。積極的に地域に出ていって、地域の皆さんとともに、この地域の医療や健康のことを考えられることが目的です。小学生、中学生、高校生の対象の『お仕事紹介シリーズ』もありますので、地元出身の専門職誕生のきっかけになればとも思っています。」



3.今後の展開

 人員不足を戦略的に解消し、その先に当院が実施する365日の救急体制を確立させます。長く続く救急崩壊に終止符を打ちたいですね。2025年問題も間近に迫ってきましたが、この地域はより早く、この問題に直面するでしょう。当法人の全てのサービスが効率的に連携し、在宅医療、在宅介護をバックアップしなければいけません。そして、地域包括ケアシステムづくりに積極的に参画、貢献していくことが私たちの使命です。当院は医療法人としての安定的な経営のため、収益、コスト削減は軽視できません。厳しい環境ではありますが、目前に迫った移転、新規事業を成功させ、さらなる魅力ある病院を目指します。

2015.07.01 掲載 (C)LinkStaff

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